衆議院-安全保障委員会 2020年(令和2年)07月08日
 (国会会議録検索システムより抜粋) ※この質疑の動画はこちら



○本多委員 立憲民主党の本多平直です。会派の一員として質問をさせていただきます。
 まず、私からもイージス・アショアの件、質問をしたいと思います。前回に引き続きでございます。
 その前に、被災地で頑張られている自衛官の皆さんに心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 前回、私の質問、大臣の撤回発表直後でございました。何らかの形で総括する必要があるというふうに御答弁をいただきました。本日も、与党公明党の浜地議員の質問に、総括の必要があるという答弁をされております。
 いつごろ、どのような形で、この経緯、きちんと御報告を我々国会にいただける、そのような雰囲気の話なんでしょうか、この総括というのは。

○河野国務大臣 当初、防衛省としては、ブースターの落下がむつみの演習場内に確実に落とせる、これはソフトウエアの変更でできる、そういう認識をしておりました。その後、日米の協議を進める中で、ハードウエアの改修までしなければ確実とは言えないということになりまして、地元の皆様を始め多くの方々に多大な御迷惑をおかけをしたわけでございまして、そこは深く反省をしているところでございます。
 私といたしましては、当初、どうしてそういう認識になったのか、また、その後、どういう協議の中でそれが変わっていったのか、このプロセスはきちんと確認をしなければならないというふうに思っておりまして、今その作業をしているところでございます。
 その確認のプロセスの中で、日米の技術的な協議でございますので、文章はほぼ機密扱いになっているものでございます。確認した後、これをどのように御報告するか、御説明申し上げるか、そこは少し考えさせていただきたいというふうに思っておりますが、そこはまずしっかり確認をするということはお約束をしておりますので、そこはしっかりまずやりたいというふうに考えております。

○本多委員 まず、なぜこれを急いできちんとやっていただきたいかというと、いろいろな理由があるんですが、今、この撤回の表明を受けて、急に代替策だ、あげくの果てには、その代替策の一つに敵基地攻撃論だと。何か、まさにイージス・アショアが導入されたときの経緯も非常に不透明で、官邸主導で、外交のベールに包まれていてわからなかった。その中で、あれよあれよとなって、こういうことになっているんです。
 ですから、同じことが直近の防衛政策、私は防衛省だけが悪いと思っていません、前から言っているとおり。国家安全保障局というようなものをつくって、防衛政策をまたいでやることになったのが果たして、本来はいいことを目指してやっていたんでしょうけれども、こういう決定を見ていると、本当によかったのか。官邸の介入がどのぐらいあったのか、こういうこともしっかり含めないと、次の意思決定を間違う。
 この代替策、安易にイージス艦二隻とか、まして敵基地攻撃論とか、どこがどう代替なのか、私はよくわかりませんけれども、こういう議論を総理の思いつきでやられたら困ると思っているんです、安全保障の骨格を。
 撤回という大きな議論の直後に急いで、百歩譲ってですよ、やるとしても、代替だから、穴があいていないと今河野大臣おっしゃいましたよね、別に、今でもイージス艦で必死にミサイル防衛に従事している自衛官はいるわけですよ。そういうことを、穴があいているというようなことを与党側から言って、イメージ操作をして早急にやるということが非常に問題なので、この経緯をしっかりと検討をして、報告をしていただきたいと思っているんです。
 そこで、その検討が、どうもブースター問題に絞ろうと大臣はされているところがあるんですが、私は、やはり導入の経緯、この辺から含めて、しっかりと総括、検証していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

○河野国務大臣 北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、それが日本の上空を飛び越えるということが、二〇一七年ですか、八月、九月にありました。いかにして北朝鮮の弾道ミサイルから我が国を守るか、国民の平和な暮らしを守るか、そういう議論の中で、二〇一七年の十二月にイージス・アショアの配備というものを決めたわけでございまして、その配備のプロセスに何ら問題があったとは私は考えておりません。

○本多委員 よく二〇一七と言われます、皆さん。二〇一七、北朝鮮がミサイル発射を繰り返していた時期、非常にこういう議論、あり得るかなという雰囲気があった。そのことは私も認めたいと思いますけれども、その中で、先ほど、例えば山本副大臣はアメリカに言われたから買ったんじゃないと。まあ、アメリカに言われたから買ったという答弁はできないと思うんですけれども、そういうことを言っていました。でも、ちょっと答弁が走っていて、アメリカに言われていないと言ったんですよ。そんな話はないでしょう。
 これはやはり、アメリカは何らかの、首脳会談とかでトランプ、今の段階では言えないかもしれないですよ、ただ、私は、首脳会談のやりとりを言えと言っているんじゃないんですよ。ただ、河野大臣は知っておくべきだと思うんですよ、この経緯を。私たちに報告するかどうかは別として、機密情報に接せられる、首脳会談の議事録を見られる河野大臣は、知って、今後の対策をとっていただきたいんですが、いかがですか。

○河野国務大臣 私も外務大臣をやっておりましたし、首脳会談に何度も陪席をしております。日本として、我が国の防衛に必要な装備品を導入しなければならぬということで行われた決定でございます。

○本多委員 山本副大臣の、アメリカ側からは何か提案や要求はなかった、アメリカ側から提案、要求があるのは当たり前なんですね。兵器を買ってほしいと思うのは、アメリカ政府。まして、トランプ大統領のようなタイプの方が、これもいいぞ、あれも買ってはどうだという話が出ても何の不思議もないので。
 ただ、その経緯を、やはり、我々に全部言えるかどうかわからないですけれども、大臣ぐらいは知った上で、今後の対応をしっかりと考えていただきたいと思います。
 もう一つ。これは、私は防衛省の担当官から説明を聞いて一定納得をしているんですが、今、週刊誌の報道で、二つのレーダーを比べて、ロッキード・マーチンのものを導入を決めたと。
 この問題についてはいろいろな疑念が出ているんですけれども、きちんとした報告、日本企業の参入を最初はさせると言っていて、決定した後にだめになったとか、いろいろおかしな経緯があるんですね。
 自民党の筆頭理事である長島先生も三度にわたって質問主意書を出して、このレーダー選定は本当に合理的なのかと。いろいろな心配があります。
 きちんと、このことについても大臣は、自信を持ってこのレーダー選定には問題がなかったと言えますか。

○河野国務大臣 週刊文春の記事を指していらっしゃると思うんですけれども、私はあの記事には事実誤認があると思っておりまして、そもそも、レーダーというのはセンサーでございますから、弾道ミサイルの発射を探索する、あるいは認知、追尾する、そういう能力がございます。それを受けて、どう迎撃ミサイルの軌道をとるか、迎撃するための軌道はどういうのがいいのかというのを計算する、そういう計算機、計算システムがあって、それが発射をさせるわけでございます。ですから、そもそもレーダーに射撃管制能力はないわけで、そこに大きな事実誤認があるというふうに思っております。
 このレーダーを調達をするときに、日本の企業の部品というんでしょうか、日本の企業のものを組み込むという話があったというのは私も理解をしておりますが、それを組み込んだ場合に、スケジュールがおくれ、コストが上がる可能性があるということだったものですから、防衛省としてそれを断念したという経緯がございます。
 さまざまな能力その他を比較をして、今回のレーダーの選定は私は妥当であったのではないかというふうに考えているところでございます。

○本多委員 それでは、代替策の話をしたいと思います。
 私は、実は、代替策というのが要らないと。つまり、イージス艦、ずっとイージス・アショアをやめろ、やめろと言っていて、じゃ、日本の安全はどうなるんだと当然言われるわけで、私は、八隻にすることで相当問題は解決するという主張をずっとしてきました。
 防衛省は、やはり人繰りが大変なんだといって、二〇一七年、北朝鮮がミサイルを連続して発射をしていた当時、そして、まだそれは、今は七隻です、来年八隻になります、当時は六隻か五隻だったんだと思うんです。そのころ、あれだけのことをされて警戒態勢をとっていたら、本当にそれは大変だったと思うんです。非常に緊張を強いられ、長時間の海上勤務ということがあったと思うんです。
 しかし、そのときの情報をもとに、ずっと、イージス・アショアを正当化するために、海上勤務が大変なんだという議論をしてきたんですが、来年八隻になります。そして、篠原議員から指摘があったとおり、ミサイルの性能も相当広範囲に伸びました。
 この中で、本当に八隻体制が不完全だと言えますか。私は、この体制をもとに、本当に足りないかどうかを慎重に、安易に、やめたから二隻買うとかそういう話じゃなく、しっかりと、八隻でどうなんだろうと。東シナ海や南シナ海にも影響が出ないでミサイル防衛ができるんじゃないかと私は思うんですけれども、いかがですか。

○河野国務大臣 どうも、最近の記事でイージス艦を二隻ふやすんだという話がございますが、それは、そういう案もあるよねということだと思います。
 少なくとも今後五年程度は、イージス・アショアの配備を仮にしたとしても、イージス艦とPAC3で弾道ミサイル防衛をやるということでありましたが、今の自衛隊の、特に採用面を見ると、海上自衛隊、非常に採用が厳しいという現実はございます。
 そういう中で、この体制をどう維持していくか。護衛艦の中にも、人手がかからない、要するに一隻の運用に必要な乗組員の数を大幅に減らす、そういう護衛艦を今後導入をしていく、そういうこともやっていくわけでございますから、海上自衛隊の人繰りが大変だというのは、現実として私も日々頭を悩ませているところでございます。
 海上自衛隊のイージス艦八隻体制で穴があいているかと言われれば、穴はあいておりません。しかし、人繰りを考えた場合、あるいは、イージス艦を例えば南西諸島に振り分ける、そういうことが、今の場合では、残念ながら非常にやりにくいということを考えた場合に、当時、イージス・アショアを導入することによって、そこを楽にしよう、あるいはイージス艦をほかの目的にもきちんと運用できるようにしよう、そういう決定が行われたというのは妥当であったというふうに考えております。
 私は、ブースターの問題がなければ、イージス・アショアを導入すべく直前まで奔走していたわけでございますから、そこは必要であったというふうに考えておりますが、配備を断念するということになりましたので、この五年は、当初イージス艦で、PAC3でやるということでございましたが、その後をどうするんだということについては、なるべく早く議論を始めなければならないというふうに考えております。

○本多委員 人繰りの問題、ずっと議論を防衛省の方としてきたんですけれども、教えてもらえないんですよ。
 例えば、Aさんという乗組員が何日間海に出て、何日後に休めて、それぐらい教えてくれよ、議論できないじゃないかと。二〇一八年に、ちゃんと八隻体制になったらどういうシフト表になるのか、これを秘密だとか何だとか言うんですけれども、そんなことは秘密でも何でもないじゃないですか、その人に聞けばそういう体制はわかるんですから。
 そういうシフト表を、もちろん現実じゃなくてもいいですよ、何か概念図でいいですよ。二〇一七年、大変だったときはこんなに大変だったんですよ、だけれども、最近、例えば去年の同じAさんはどんなシフトで海に出て休暇がどうであってという、若干日付とかずらしてもいいですよ、そういうのを私に見せてもらえないですか。出してくれないんですよ。

○河野国務大臣 なかなか運用の手のうちを大っぴらにするということはできないわけでございますが、委員がおっしゃることもよくわかります。人繰りが苦しい苦しいと言っているだけで、中身がわからなきゃ議論できないだろうというのはそのとおりでございますので、ちょっと考えさせていただきたいと思います。

○本多委員 ぜひお願いしたいと思います。
 数年間、人繰りが苦しい苦しいと。多分それは二〇一七年の大変だったときのことなんです。概念図でいいですから、こういうふうなシフトで、八隻体制になる来年以降はこんな感じになる、一人の自衛官の方がこんな勤務になるんだということを私にぜひ見せていただきたいですし、最低限、大臣は見てから次の議論をしていただきたい。
 何千億というお金がかかるイージス艦を、私はイージス・アショアよりイージス艦の方がいいということも申し上げてきましたけれども、安易に、やめたからイージス艦、これは、人繰り人繰りというだけでは、簡単に国会としてそんなに認めるわけにいかないと私は思っています。
 もう一つ。ずっと私がイージス・アショアの議論で、この委員会でも何度も申し上げてきました。弾というんですか、ミサイル本体というんですか、飛ばすやつですね、あれが、やはり積めるだけ今のイージス艦にも積んでいない。九十発ぐらい発射ができる、だけれども、飛行機相手のものや潜水艦相手のものも積む。しかし、五十発くらい積めるところに、今、わずか八しか積んでいない。
 これは、言えない言えないと、手のうちをさらすから言えないと言っていますが、それは一発数十億するわけで、決してどんどんどんどん買えと言えるかどうかわかりません。
 しかし、これだけ穴があいているだのイージス艦をふやせだの、あげくの果てには敵基地攻撃だと言っている自民党の皆さん、何で、マックス積めとは、予算の関係もありますよ、だけれども、せっかく船をつくって高いイージスシステムを買って、北朝鮮は、やる可能性は極めて低いけれども、やるとなったらたくさん撃ってきますよね。そのときに、なぜこの弾を買わないという議論がしっかり出てこないのか。
 まさに、代替策がもしあるとしたら、私が認める代替策はそれだと思うんですけれども、この弾数問題、どうお考えですか、大臣。

○河野国務大臣 誘導弾の総数あるいは搭載数、これは手のうちでございますから申し上げるわけにはいきませんが、誘導弾の数が重要だというのは全くそのとおりでございまして、麻生財務大臣にもそういう議論をしているところでございます。そこについては、来年度の概算要求、しっかりやってまいりたいと思っております。

○本多委員 本当に自由民主党の皆さんにも申し上げたいんですけれども、敵基地攻撃論の議論をする前にきちんと、高価なイージス艦を八隻にして、弾が八発。専門家によれば五十積めるところを八なんですよ。こういう、手のうちも何も、北朝鮮は知っているんですよ、そんなことは。それをきちんと要求をしていただきたいと思います、まず先に。これがまず最大の代替策だと私は思いますよ、前から。イージス・アショアをつくらなくてもいいと言ってきたのも、この一つの大きな話なので、すっ飛ばして、代替策という話を急ぐ場面では私はないと。しっかりやるべきことをまずやってくださいということをお願いしたいと思います。
 さて、その代替策、いろいろ私はきちんと提案をしました。八隻でしっかりやれるのではないか。人繰りも見せてもらっていません、我々国会に。その中でずっと自由民主党さんは敵基地攻撃論というのを提案をし続けて、私が日本政府は立派だと思うのは、自民党という与党が提案をしてもずっとこれを蹴ってきていただきました。私は正しい判断だと思います。
 つまり、敵基地攻撃論、憲法論はきょうしません、鳩山答弁をそのまま私も尊重する立場で話しますが、憲法論的には可能性があるかもしれませんが、政策論として、日本の国力からしたら、そして日本が想定する相手国、幾つかあります。この想定する相手国、北朝鮮だけではありません。こういうときに北朝鮮の何かミサイル発射基地というわかりやすい例えでこの論に踏み出すことは、政策的に私はやるべきではないと思っています。しかし、議論まではどうぞすればいいと思っているんですよ。自民党の皆さんも提案を一生懸命されているというのはわかっているんです。
 ただ、今回、イージス・アショアの撤回と同時に突然、総理大臣が、いや、自分から言うならまた潔いんですが、読売新聞さんの記者に聞かせて、その答えの中で突然、敵基地攻撃論の話をし始めたんですね。これは論理的によくわからないんですよ。代替策をいろいろいろいろ、ほかのことをやった後にこの話が来るんだったらわかるんですけれども、大臣、こういう経過になるということはどこかで御存じでしたか。やめるのはわかった、河野さんがそこまで言うなら、だけれどもかわりに敵基地攻撃論の議論はさせてもらうぞというような話があったんですか、総理と。

○河野国務大臣 イージス・アショアの配備を断念をする、それから、先ほどから答弁で申し上げておりますように、新しい空からの脅威というのがふえております。これは、いろいろな種類、多様性その他ございます。政府として、国を守るためにどうするのか、イージス・アショアの配備を断念してどうするのか、新たな空からの脅威にどう対応するのか、そういう議論をするのは当然のことだと思います。

○本多委員 総理とそういうやりとり、敵基地攻撃論も含むという話はされていないんですか。

○河野国務大臣 イージス・アショアの配備を断念をし、今後どうするか。それは、まずあらゆる選択肢をテーブルの上にのせて議論するというのは、これは別に当然のことではないでしょうか。特に何をのせようとか何をのせないとかというよりも、まず全てのカードをテーブルの上に並べてみて、それぞれについてどうだという議論をするのは当然のことだと思います。

○本多委員 わかりました。
 では、経緯の話はここまでにして、時間がだんだんなくなっちゃったので、少しだけ議論させていただきたいと思うんですけれども、敵基地攻撃を行うとしたら、例えばどんな兵器が、今、日本が、あるものもないものも含めて必要になりますか。

○河野国務大臣 一般論で申し上げますと、まず、先ほどどなたかがおっしゃっていましたけれども、ミサイルの発射というのは固定式から移動式に変わっておりますから、どこにミサイルの発射基地があるのかというのをリアルタイムで把握をする。あるいは、地下から出てくるものも当然ございますから、そういうミサイルの位置を正確にどう把握するか。それから、防空用のレーダーとミサイル、これはセットなんだと思いますが、防空用のレーダーとミサイルがどこにどうあるのか。それから、それを当然に無力化しなければなりません。そうやって相手の国の制空権を一時的に確保した上で、そのミサイルの発射装置あるいは地下の施設というものを攻撃をする、そして、その攻撃がどうだったかということをかなり正確に評価をし、次につなげる、こうした一連の能力というものが必要になってまいります。

○本多委員 今我々は、例えば島嶼防衛だけでも非常に大変な力を注がなきゃいけないわけですよね。そこに新たにそれだけのものを、可能性がそれほど高くないものにこうしたコストをかけるというのは、私は、コストパフォーマンスの観点からいっても非常にもったいない。今アメリカがそれを担うと言っているものをわざわざ日本側から変えていくというのはもったいない。
 自民党さんの提言はある意味で正直で、自民党は防衛費を二倍にすると言っているんですよ、GDP比二%と。それだけかければ、五兆円を十兆円にすれば、そういうものも買えるのかもしれません。
 しかし、十兆円というのは、私は不可能な、今の日本の財政を見たら、防衛費は大体この範囲でやらざるを得ない、この中で敵基地攻撃論、そろえるのは、非常にコストパフォーマンスが悪い。
 では、効果はあるのかということも議論させていただきたいんです。
 実は、最近の本格的な戦争というのは湾岸戦争やイラク戦争までさかのぼらないとないので、これを例にしますが、世界最強のアメリカ軍が二度にわたってイラクと戦いました。このとき、当然、アメリカは別に憲法も気にせず敵基地攻撃をしたわけです。イラクが発射してくるスカッドミサイルをできるだけ少なくしようとして頑張ったんですけれども、きちんと効果的にスカッドミサイルが撃たれることをとめられましたか、二つの戦争において。

○河野国務大臣 例えば湾岸戦争ですか、イラクが持っているスカッドミサイルをアメリカとして捜索し、これを破壊をする、そういう一連のオペレーションをやりました。しかし、幾つかこのスカッドミサイルがイスラエルに届いた、そういうこともあった。また、発射地点を特定をし、それを攻撃する、そういうオペレーションが行われた、そういうふうに承知をしております。

○本多委員 私が調べたら、二〇〇五年、防衛研究所の研究員の方が論文を書いているんですよ、この二つの戦争における敵基地攻撃論がどういうふうに機能したか。
 自民党の皆さんも、まあ、自民党はアショア撤回の前から敵基地攻撃論を言っているんだから、それは次の提言にも出てくるんでしょう、それで。しかし、僕は政府にはしっかり検討してもらわなきゃいけないと思うんです。
 そのとき、河野大臣、この二つの戦争において、敵基地攻撃論があのアメリカでさえ完璧にはできなかったんですよ。そこを中途半端に、日本が今何かここで世間受けを狙ってつけ加えたところで、費用を一定、中途半端にかけたところで、効果あるものにならない。この二つの戦争におけるアメリカ軍の行動、イラクの、それでもかいくぐって、移動式のところから発射を続けていたんですよ、戦争の最後の方まで。この実情をきちんと調べてから敵基地攻撃論の議論に臨んでいただけますか。

○河野国務大臣 先ほど全てのカードをテーブルにのせると申しましたが、これからの議論でございますので、何かその中の一枚を選んで議論しようとしているわけではございません。

○本多委員 自民党はこれまでも提言してきたんだから、提言が出てくると思いますよ、総理も前向きなんだし。しかし、それをきちんと議論していただくために防衛大臣がいると思っているので、日本にとってこれが本当に最善の政策変更かどうかというのは、慎重にも慎重を。
 それで、我々、議論の場を与えていただきたいですよ、こんな大事な政策変更をする際は。ぜひ、これは私は、きょうは入り口にしたいと思います。
 さて、ちょっと一つ、全然関係ない、違う、ずっと正月から気になっていて、ほかに大事な話があるのでできなかったんですけれども、航空宇宙自衛隊に名前を変えると。そして、読売新聞一月五日報道によると、四万七千人の航空自衛隊の定員のうち、空自の任務は七割にして、残る三割は宇宙などにすると。本当に、こんなものを読んだら、航空自衛隊の皆さんは怒っていると思いますよ。
 この間つくった宇宙作戦隊のように、一定のデブリの監視とかそういう機能をやって、少し技術を高めていくということに私は反対していませんよ。ただ、本格的に、この歴史のある名前を変えてまでこんなことをやるという話は本当に進んでいるんですか。やめた方がいいと思うんですけれども、私。

○河野国務大臣 新聞に出ていること全てが真実というわけではございません。そのような方針を固めたということは全くございません。

○本多委員 やめていただきたいと思うんですね、新聞が事実かどうかという話は別にして。
 最低限、きちんと隊員の声を聞いてもらえませんか。募集は大変なわけですよね。私ははっきり言って格好悪いと思うんですよ。航空自衛隊の方が格好いいですよ。
 一部の、ちょっとやる仕事を、全部否定しませんよ。しかし、そういう名前に変えて、私、隊員が喜ぶと余り想像できないんですけれども、総理は前のめった発言を去年されているんですね、一回。航空宇宙自衛隊への進化も夢物語ではないと。
 これは、河野大臣、ちょっととめていただきたいし、百歩譲って、ちゃんと隊員の声を聞いていただけないですか。

○河野国務大臣 とめるも何も、スタートしておりません。

○本多委員 では、ぜひスタートをさせないでいただきたいと思います。きちんと航空自衛隊のまま、航空自衛隊の皆さんに頑張っていただきたいと思いますし、行政改革とコストカットを旨とする河野大臣が、こんなことで名刺の印刷とか看板のかけかえに何億円かかるのかわかりませんが、いろいろな観点から、私はやめた方がいい。
 そもそも、もっと本質的に言うと、宇宙で軍拡をすることは、アメリカに乗っかって軍拡をしていくということは、決して日本の国益じゃないと私は思います。ロシアや中国でさえアメリカの暴走をとめようとしているわけですから、ここに、しっかりと軍縮に、宇宙での軍拡をとめていく、そのことをやっていただきたいと思います。
 以上です。