衆議院-原子力問題調査特別委員会 2020年(令和2年)05月19日
 (国会会議録検索システムより抜粋) ※この質疑の動画はこちら




○本多委員 立憲民主党の本多平直でございます。会派を代表して質問をさせていただきます。この委員会では初めての質問になります。

 若干、私、この委員会に来て、皆さんの議論を聞いていて、ショックでございました。四十年ルールを見直せとか、白昼堂々、原発の規制を緩めろということを委員長に迫る委員の方もいて、本当にそれでいいのかなという、非常に疑問を持ちながら議論を聞いていました。

 これだけ電力会社や自民党の皆さんからプレッシャーをかけられているんだから、更田委員長は頑張っているんだろうなと一瞬思いそうになったんですが、世の中それほど単純じゃないということが今回明らかになっています。国会として、しっかりとチェック機能を果たそうと思いますので、質問をさせていただきます。

 鳥取県の大山の噴火量が約十倍になるということ、それは皆さんの、委員会の努力もあって新たに発見をされました。そこで、関電の高浜や大飯に降り積もる火山灰の量は約二倍になるかもしれない、こういう状況でございます。

 さてどうしようかというときに委員会がとった対応、ここに非常にまず不透明かつ不十分なものがあったのではないかと私は考えています。そうした観点で質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この過程です。これは既に前回の委員会で斉木委員、日吉委員も質問をさせていただきましたけれども、まだまだ私は納得がいきません。

 委員長は、事前会議は打合せだとかブレーンストーミングだとかおっしゃっていますが、まさかテープが出てくるなんてことは思わなかったんでしょう、ずっとそういうことを記者会見でも国会でも言い続けました。テープが出た後もはっきりしないんですが、そもそも、テープが出る前には国会で事実と異なる答弁を残念ながらされているわけです。

 例えば、三月十日、参議院内閣委員会杉尾委員の質問に対しては、当該文書が、当該文書は今資料でおつけをしていますが、写真の次のページの二つの資料です、裏側と、一案と二案を比較したもの、そして規制委員会本体に出す案をつくったもの、当該資料が委員との打合せ等で示されるということは到底考えられないというような発言をされていますけれども、結果として事実ではなかったわけです。

 このことを、まず我々国会との信頼関係をきちんと回復するためにも、この間、まあ、テープが出てくるなんてことは想像しないで記者会見や委員会で、いや、そんなものはあるはずがないとか言ってきたこと、この資料に基づいて事前の打合せ、ブレーンストーミングはされたわけなので、結果として、国会で事実と反する、事実と違うことを言ったということに関しては、きちんと謝罪をして、訂正をしていただければと思うんですが、いかがですか。

○更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず申し上げますが、大山生竹テフラの噴出規模見直しは、原子力規制委員会が二〇一五年からみずから安全研究として見直しを進め、二〇一七年六月に、安全研究の結果を踏まえて規制対応の報告を受けてから、関西電力との意見交換を二回、現地調査を一回行うなどして、二〇一八年十一月に新知見として認定した上で、翌十二月の委員会で再評価命令を決定するという長い経緯を経たものでありまして、十二月六日のブレーンストーミングだけを切り取って見るのではなく、全体の流れ、本質を捉えていただきたいと考えております。

 その上で、これまでの国会答弁や記者会見で一貫して申し上げてきたのは、原子力規制委員会の意思決定は全て公開の委員会の場で行っていること、十二月六日のブレーンストーミングは委員会の会議以外の場で意思決定をしていないということ、あの場で意思決定はしておりません。したがいまして、国会答弁や記者会見で事実と異なる発言をしたという認識は持っておりません。

○本多委員 私の質問時間、委員長、二十分しかないんです、質問に答えてください。

 あの場で意思決定をしたなんて言っていません。この資料に基づいて議論したということに対して、杉尾さんには、到底考えられないと言っているんですよ。それが結果として事実じゃなかったということを正式に認めてくださいよ。

○更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 御答弁の際に、その議論、ブレーンストーミングを行った時点で資料というものを記憶をしていなかったぐらい、あの場でのブレーンストーミングは紙に基づいて行ったものではありません。したがって、事実と異なる発言をしたという認識は持っておりません。

○本多委員 このテープを聞くと、資料のポイントをしながら示しています。結果として違っていたわけです。

 三月十日の杉尾委員とのやりとりのときに委員長がわざと虚偽を言ったのかどうかは私はわかりません。これは永久に委員長の内心の問題です。結果として杉尾委員に間違った答弁をしたわけですよ、資料に基づいて議論しているんですから。それを認めてくださいと言っているだけです。

○更田政府特別補佐人 繰り返しお答えいたしますけれども、十二月の六日に行いましたのはブレーンストーミングであって、資料に基づいて、あるいは資料に対する打合せといった類いのものではございません。

○本多委員 わかりました。委員長がこの、総体の話じゃないですよ、一個、一番私は委員長の発言で、私から言えばですよ、記者会見だろうが国会だろうが、相当しらばっくれていたんですよ、テープが出るまで、その中でも一番、これはさすがに、資料、当該文書が委員との打合せ等で示されるということは到底考えられないと言っていて、示されていたんですよね。その事実は認めるんですね。

○更田政府特別補佐人 資料ですけれども、委員会に提出される資料の原案のようなものが、情報公開請求が行われた時点でそういった資料というものが中間資料としてあったことは、その時点で認識をいたしました。ただし、その場に出席した出席者全員がそのバージョンの資料について記憶をしておりません。さらに、そのブレーンストーミングの内容、録音を聞く前も、録音を聞いた後もそうですけれども、あれこそまさにブレーンストーミングであって、その場において資料に基づいた検討を行ったという認識は持っておりません。

○本多委員 とんでもない話だと思います。

 私はチャンスをつくっているつもりです。結果として事実と違う発言をしたということを言って、私はこの委員会と規制委員会の信頼関係を取り戻したいと、今後も頑張っていただきたいことがあるんですよ、委員会には。だからこそ、今回、こういうふうに出たことを、しっかりとけじめをつけて次に進もうということで、一点に絞って、全部悪うございました、反省しましたとまでは言えないかもしれないけれども、ここは間違えました、杉尾委員への発言は確かに結果として事実と異なりました、このぐらい言ってくださいということを言っているのも答えない。

 非常に、これはほかの、大臣と一緒なんですよ、委員長は、大問題になるようなことを今平気で答えているということで、私は、じゃ、そういう態度なら、そういう姿勢で厳しく質問していきたいと思います、更に。全く納得がいきません。杉尾委員には虚偽の答弁を結果としてしている、これは明らかな事実です。

 斉木議員とのやりとりで、いろいろいろいろ言いわけしたあげく、文書管理は今後改善するとおっしゃいました。委員長の言うとおり何にも問題ないんだったら、改善する必要ないじゃないですか。何が問題だから何を改善するんですか。

○更田政府特別補佐人 現在の文書管理に特段の問題があるというふうに認識はしておりません。しかしながら、何事においても継続的な改善を進めるというのが原子力規制委員会の業務に対する姿勢であります。

○本多委員 よくわかりました。斉木委員に言ったこともその場限りの言い逃れ。日常的に業務を見直すのはどんな組織でも当たり前です。この間のところで、じゃ、文書管理にも何も問題がなかったと。

 事実上の意思決定ではないんですよ。意思決定とは私は言っていませんからね。意思決定したのは本委員会に決まっているんですよ、法律的に。こんな事前会議で意思決定なんかできるわけないんですから。意思決定の過程も書類は残さなきゃいけないんですよ。そういう答弁するんだったら、私、これは公文書管理に明らかに違反している、この観点からも今後も追及をしていきます。

 じゃ、中身です。実はきょう、毎日新聞さんが入手をして、毎日新聞さんのホームページに載っている委員長のこの事前会議での発言を持ってきました。ちょっとうちのミスで一番最初の一番大事なところが抜けちゃったんで、私、もう一回読ませていただきます。

 一案と二案、一案は箸にも棒にもかからない、念のためのブレストで出しただけだと言っていますが、その一に対して委員長はこう発言をされています。これは皆さんの資料に行っていないので、私がゆっくり読みます。

 僕なんか、これ、ぱっと見たときに一の方がすごくすっきりする。すっきりするんだけれども、法務上難しいんだろうなということは私にもわかるので、そこをまずそちら、これは規制庁ですよね、規制庁の担当者に見解を聞かないとと言っているんですね。

 これ、一案、二案、事務局から出てきて、すっきりすると。すっきりするというのは、どういう意味なんですか。

○更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 そのすっきりするが具体的に何を指しているか、今この場でお答えすることは、具体的に思い当たるものがありませんけれども、まさにブレーンストーミングでありますから、これまでの御答弁でもお答えしているように、電力側の考え方、関西電力の見通しの立て方、さまざまな立場に立って発言をしている、そのブレーンストーミングの中の断片だけにすぎないというふうに認識をしています。

○本多委員 私にとってはすっきりするんですよ。

 裏面をごらんください、委員長。一案と二案があって、一案がなぜすっきりするかというのは、規制委員会はもう既に、火山灰が二倍降り積もると、この大飯と高浜に。それで、一番、その黄色の線、私が引きました、ここが違うんですよ。関電がどういう態度だからどっちをとろうかというのは、それは情勢的にいろいろあるかもしれないけれども、一番の違いは、一案だと、現在の状態が基準に適合していないというポジション、二は、もうあした噴火するかもしれないんですよ、規制委員会は基準の適合性について判断はしていないというポジション、ここじゃないですか。だから委員長はすっきりするとおっしゃったんじゃないんですか。

○更田政府特別補佐人 推測でお答えするのはふさわしくないかもしれませんが、この文字の数だけを見ても一の方がすっきりはしているのかと思います。

 しかしながら、この時点において噴出量の想定が変わるということはわかっていましたけれども、恐らくは当該発電所で降り積もる火山灰の厚さが変わるのではないかと思ったからこそ、私たちは報告徴収命令をかけて関西電力に再評価を、この時点で関西電力は基準の不適合状態であるとか層厚が変わるということに関して意見を一つにしておりませんで、そのあらがう関西電力に対してどう足元をすくわれないように改善に向かおうかという議論であります。

 これ以上、このときのブレーンストーミングについて、さまざまな立場に立ってさまざまな議論をいたします、その断片だけを切り取られてこうではないかと言われても、お答えのしようがありません。

○本多委員 自民党さんはこれでよしとおっしゃっていますけれども、見ていただきたいんですね、断片だけと言われるので、きょう、ちゃんとずっと1から7まで、そしてその後の、わざわざ関電への命令文までこの会議でやっているときの委員長の発言。

 いいですか、2のところでは、原発稼働の差止め訴訟ということが出ているんですよ。差止め訴訟なんかだと基準に不適合という論理を生みやすいと。これ、どう考えても、公平ですか、こんなこと言って。

 それから最後にも、8、印象としては限りなくね、そういうことをすると不適合状態を連想させるんですよと。不適合なんじゃないんですか、この時点で。何でこんなことを言っているんですか、裏の会議で。

○更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 裏の会議では決してございません。原子力規制委員会では日常的に行っているブレーンストーミングの一つであります。  繰り返しお答えをいたしますけれども、ブレーンストーミングの中では、さまざまな立場に立って出方を考えますので、発言もいたします。

 それから、この時点で、不適合状態を認めさせるためには、改めて関西電力に、噴出量の変化を前提とした降り積もる火山灰の層厚を評価させる必要がありました。この評価結果が出る前に不適合とすることは手続上できないことは、これは、このブレーンストーミングの前の会見でも、改めて評価を求めていくことになると会見の場で申し上げておりまして、評価前の時点に当たって不適合を認定する、私たちは科学的、技術的なデータに基づいて適合か不適合かを決めますので、この時点で適合ないし不適合を決めることはできない時点にあります。

○本多委員 これは一案をとったら不適合ということに、不適合状態になりますよね。

○更田政府特別補佐人 したがいまして、この時点で一案がとれない、とり得ようがない案であることは全員理解した上で、その上でなお欠けのないように、足元をすくわれることのないように、そのためのブレーンストーミングでもあります。

○本多委員 私は、一案がとれない理由、全く今納得していません。事務方からは、関電のずっと態度がこの何年か悪かったので、こんな指導をしたって出してこないから命令をかけたんだと。一見、二の方が厳しそうなんですけれどもね。だけれども、違うんですよ。関電の状況に基づいて、科学的じゃないんですよ、全く。勝手に、関電の状況があるから。

 しかし、委員長、私がもし規制委員会に、委員長だけじゃないですよね、あと四人、委員いらっしゃいますよね。この議論、聞きたかったんじゃないんですか。一案と二案をちゃんと比較して、一案にはこういう問題点がありますという議論を、何で委員長ともう一人の委員だけでやっているんですか。これ、ほかの委員もこの議論をきちんと、私がもし委員だったら怒りますよ、こんなことをやっていたら。

○更田政府特別補佐人 委員会五名の意思決定、それぞれ個々の委員としての意見はそれぞれで形成されます。したがいまして、この大山生竹テフラに限らず、こういったブレーンストーミングというのは、委員の求め、ないしは事務方の求めに応じて個々の委員がやっているものと考えております。それぞれがそれぞれでブレーンストーミングはしているでしょうし、みずからの意思を決めるための議論はいろんな形でやっていると考えております。

 これは、お答えになりませんでしょうか。

○本多委員 じゃ、これは、原案はほかの委員からも出せるんですか、ちゃんと。

○更田政府特別補佐人 実情、現実的なあり方から考えると、こういった委員会資料そのものを個別の委員が提案するということはないと思います。今までもなかったように思っています。

 したがいまして、あくまで表現であるとかそういったものに関しては事務局の作成した文書が土台になります。

○本多委員 そうならわかるんですよ。ところが、事務局の会議に石渡委員と委員長だけ入って事前に修文しているから問題だと私は言っているんですよ。

 だから、私がほかの委員だったら、全員に案を見せないでその場でぼんと見せられるか、全員に一案も事前に話して、ああ、委員長と石渡さん、だめだと言われたとやらないと、全くほかの委員に対してこれは不公平。議決もすることがあり得るわけですからね。これは極めて委員会の運営としておかしいと思うので、考えていただきたいと思います。

 それで、もう時間がないので、私、この問題、本当にもう、委員長、全然姿勢を直していただけないんですけれども、そもそも、これは一案、二案だけなんですか、選択肢は。日吉委員も言っていましたけれども、基準を満たしていない時点で、これは停止というチョイスでさえあり得るんじゃないんですか、ゼロ案として。私だったらそうしますけれども。

○更田政府特別補佐人 案の数は一案、二案にとどまらないと思います。それこそ、三案どころか、幾つもあろうかと思います。その中で、科学的、技術的に考えて、また、一般のリスクを、許容できないレベルのリスクの高い状態をつくらないための手順は幾つもあると思います。

 ただし、この時点では大山の噴出量の評価が変わった時点であって、さらに、大山が活火山でない、これは、この判断というのは、規制委員会の判断の前にさまざまな機関でそういった判断がされております。さらに言えば、火山灰の層厚に関しても、もとの設置許可の時点で大きな裕度をとった評価がなされていることを考えて、そういった意味で、最も適正で、また、繰り返しますけれども、足元をすくわれない策をとる必要があったというのがこの時点であったというふうに考えております。

○本多委員 ありがとうございます。

 私が提案したゼロ案さえあるんですよ。皆さんには、法律で、いきなり停止というのすらあるんです。  しかし、委員長は、これまでそういう方法を、私、委員長、何でそんなに自信を持って発言するのかといったら、過去の、三・一一以前の、業者から圧力をかけてとか、業者をおもんぱかってというつもりでやっていないところまでは何となくわかってあげたいと思うんですよ。ただ、自分の中で勝手に、共産党の笠井委員への答弁なんかで、何かバックフィットには猶予が要るんだ、猶予がないでいきなりやると結局原子力の安全を阻害するというような変な哲学をお持ちで、その哲学が当たることもあるかもしれないけれども、はっきり言って、火山なんていつ噴火するかわからないんですよ。

 こんな、今回、三・一一の反省を踏まえて大きな改正をして入れた火山の規制の根本のところで、ゼロ案も審議しない、一案を落とすのも秘密会議、これじゃ、全然私は説得力がないんですよ。今後ともこのことをしっかりと議論していきたいと思いますので、姿勢を改めていただきたいと思います。

○更田政府特別補佐人 差し迫った危険、即座にとめるような、停止を命じなければならないような危険が認定された場合は、原子力規制委員会はちゅうちょなく原子炉の停止を命じます。

 ですから、先生のおっしゃるような選択肢も、そのときの状態による判断によるものだというふうに考えております。

○本多委員 そのことについても、何か、たった、いつもはたくさん火山について資料をつけて、この火山はすぐ噴火しないからすぐはとめないと、まあ、それ自体、私は反対ですけれども、そういう資料がついてくるのに、今回は、活火山じゃないから大丈夫だろうと、たった二行でその判断をしているんですよ。

 だから、このことは大問題ということを申し上げて、私の質問を終わります。