衆議院-安全保障委員会 2020年(令和2年)04月03日
 (国会会議録検索システムより抜粋) ※この質疑の動画はこちら




○西銘委員長 次に、本多平直君。

○本多委員 本多平直でございます。立憲民主党の本多でございます。共同会派を代表して質問をさせていただきたいと思います。

 私からも、ちょっと急な通告になったので、余り細かいことは聞きません。河野大臣にお伝えをしたいことをお伝えをさせていただきたいと思います。コロナの問題でございます。

 午前中に院内テレビで、外務委員会で共産党の穀田委員の質問、渡辺政務官がお答えをされていたと思うんですが、私、これを聞いて、政務官からも後でお聞きをいただいたり、議事録も見ていただいたらありがたいんですけれども、せっかく直接お伝えをする機会があるので、私からもお願いをしたいと思いました。

 質疑を聞いておりましたら、「たかなみ」にはPCR検査の施設もないということであります。クルーズ船の一連の動きを見ていても、船というのは非常に厳しい環境、感染症にとっては厳しい環境であるということは皆さんもお気づきだと思うんですが、クルーズ船には個室がある、しかし、軍艦には、基本的には皆さん、二段ベッドのようになっていたり、個室ではないという中で、私、米軍のセオドア・ルーズベルトも大変な事態になっている、司令官の方がその情報を上司以外の方に伝えて今処分をされているなどという話もありますが、そういうことをせざるを得ないぐらい切実な状況が、それも「たかなみ」とは比較にならない大きな、巨大なセオドア・ルーズベルトという空母でも、そのような事態が起こっているということであります。

 そしてまた、防衛省の方にお聞きをしますと、この「たかなみ」は、七日から十日海に出て、そして三日港に入って休養や補給をする、こういう大体ローテーションで活動されているということなんですけれども、オマーンなのかどこか、皆さんおっしゃいませんけれども、例えばオマーンに着いたときに、オマーンも今感染者が出ています。中東、イランとの人の行き来があるところは大変危険な状況になっています。十日海の活動をして陸におりたときに、今どういう態勢になっているのかはお聞きしませんけれども、外出禁止は禁止で厳しいと思います。ストレスがたまる状況だと思います。外出したらしたで大変危険だと思います。

 こういう状況下で、大臣とは意見を異にするわけです。中東派遣について、私たちはするべきではないと思ってずっと議論をしてまいりましたし、大臣は、調査研究は要るんだということでやられているわけなんですが、ちょっとその議論はさておいて、野党から言われたから何とかということも全く関係なく、御検討いただいた方がいいと思うんです。

 世の中、オリンピックも国際会議も延期や中止が相次いでいる中で、今この自衛艦、いろいろな事情の中で、私もわかるんです。アメリカに言われ、つき合わなきゃいけない部分もあるという苦渋の判断の中での「たかなみ」の派遣ではあったんですが、世の中がこうなっているときに、そしてまた、こういう護衛艦、非常に危険な、万が一起こったらすぐ広がる、インフルエンザにしてもそうだったという過去の例も穀田委員が御紹介をされていました。

 こういうときに、我々が言ったあれは要らないとか、あれはだめだという意見とは全然また別な次元で、本当に大事な会議さえ中止や延期になっているわけです。そして、今すぐタンカーを守る状態ではないということもずっとおっしゃっているわけであります。こういうコロナの世界的な、まさに寄港地も被害が及んでいる地域なわけで、そこに寄港しながらこの活動を更に何カ月、そして次の船を送ってまた四カ月、そこに隊員を置くということが本当に正しいのかどうかということを、ぜひちょっと一度考えていただきたいというお願いをしたいと思って来たんですが、いかがでしょうか。

○河野国務大臣 おっしゃることはよくわかります。今、「たかなみ」、「はるさめ」、どうするか、あるいはジブチに展開しているP3C、どうするか、私の頭の中の優先順位の、かなり上の方にあるわけでございます。

 「たかなみ」に関しましては、今、補給に入港しても、基本的に上陸しません。逆にそれがストレスにつながるというところは御指摘のとおりでございますが、おりてコロナを拾うよりは安全だというふうに考えております。

 また、万が一、ぐあいが悪くなった人を隔離する部屋はございますので、何かあった場合には隔離をいたしますが、先ほどのセオドア・ルーズベルトの話を見るにつけ、船での感染症がいかに危険かというのは、これはよくわかっておりますので、「たかなみ」、「はるさめ」、どうするか。

 それから、今、ジブチの中でもコロナの感染症が広まりつつあります。そういう中で、ジブチの基地、あるいはP3C、どうするかというのは、今さまざまなケースを想定をして、プランA、B、CからプランZぐらいまで、プランZというのは撤収ということになろうかと思っております。ジブチに例えばフランスの病院があって、万が一のときにはそこへお願いをするという話をしておりますが、これは、ジブチの中で広まれば、当然そこで受入れができるかどうかということは状況が変わるわけでございますので、日々そうした状況を確認しながら判断をしなければいかぬと思っております。

 ただ、問題は、例えば海賊対処行動、今、海賊の件数は極めて低い数になっておりますが、原因となっているソマリア近辺の貧困の問題は解決をされておりませんし、恐らく、これからアフリカでコロナウイルスの感染症が蔓延をすることになりかねないと思っております。そのときに、海賊に万やむを得ず打って出るのか、どうなるのか、そこはよくわかりません。

 我々が引いてしまって、ほかの国もそれなら引いてしまったときに海賊がまたばっこすれば、当然日本の物資の輸送にも影響が出ます。また、オマーン湾の方では、日本の輸入原油の九割がここを通っているわけでございまして、今いろいろな国がそれぞれのイニシアチブで、そこを、シーレーンをきちんと守ろうということでやっている中で、日本だけ帰りますというのがいいのかどうかということも当然あると思いますので、おっしゃっていることはよくわかりますし、そこは非常に難しい問題だと思っております。そこは日々状況を見ながら、しっかり判断ができるようにしてまいりたいと思っております。

○本多委員 大変いい答弁をいただいたと思いますので、ぜひ、これ以上、今すぐここでという話ではないと思うのですが、決断をされるとしたら、こうしたことは、もちろん引くということも、大変、一度出している政府としては、他国との関係いろいろある、地域の問題があると思うので、簡単ではないと思うんですが、どうせやるなら、何かが起こり始めてからとか起こってからではなくて、早い決断の方がいいことがあると思いますし、特にジブチのお話もされましたけれども、ジブチの方にある、一定の地域に果たす役割、私もジブチに行って見てまいりましたけれども、それと今回中東での調査研究はまた若干違うと思いますので、ぜひ賢明な検討と御判断をいただければと思っています。

 中東派遣についてちょっと、もう少しお話、その前に、コロナの関連をもう一問、外務大臣にお聞きをしたいと思います。

 先ほど照屋議員からもお聞きをしました、米兵の行動に対するルールでございます。万という数で、正確な数は外務省も知らないということになっているわけですが、数万いらっしゃる米兵、そして、場合によっては、基地間の移動で入ってくると、検疫のルールを超えている。そして、お聞きをしますと、例えば特措法、これが、緊急事態が発令をしても、その対象にはならない。日本の法制からは一つ外れたところで、米軍を信頼をして、きちんと協定を結んで情報提供はされるというようなことは当然されているということはお聞きをしましたけれども、しかし、ある種、ルールが違う、米軍独自のルールでやっているということです。

 ちょっとミクロに、大変ミクロで恐縮なんですけれども、例えばこういうケース。アメリカはアメリカで、外国から戻ってきたら十四日間は今基地内にいてねというルールにしているそうなんですが、実は、そのルールがかかる前に外国から戻ってきて、三日ぐらい自由に行動をしていて、基地の外に出た可能性もあるわけなんです。この方が感染が明らかになっているんです。例えば、この方の場合、どこから来たのか。普通はアメリカじゃないかと思うんですけれども、例えば休暇で韓国に行っていたとすると、もう既に帰ってきた日付は、日本のルールでいうと十四日間の自宅待機の期間に当たるんです、この嘉手納で見つかった方ですね。

 これは、例えば、ちゃんとこの米兵さんは日本のルールに従った行動になっていたのかどうかということを、ちょっと大変ミクロで恐縮なんですけれども、確認を。ルールのはざまになっているのじゃないかということでありますが、いかがでしょうか。

○茂木国務大臣 ちょっと質問の趣旨、もう一回、細かかったので、もう一度正確に教えていただいてよろしいですか。

○本多委員 嘉手納で感染が明らかになった米兵の方がいらっしゃいます。この方は、お二人いらっしゃるんですけれども、どこからいつ帰国したか、我々には明らかになっていません。それから、隔離が開始された時期も明らかになっていません。それから、もう一人の方は、どこかから十二日に帰国をされました。十六日からは行動制限がかかりましたけれども、十二から十六は行動が自由でありました。しかし、この方はどこから帰ってきたかわからないので、この時点、まだアメリカはルールがかかっていませんから、アメリカだったらいいんですが、例えば韓国から戻られていたとしたら、日本国内のルールでいうと、十四日間自宅待機なんですよ。だから、これは日本のルールに当たっていないんですけれども、本当に韓国からじゃないですかということを聞いているんです。

○茂木国務大臣 個別の事案については今初めて聞きましたのであれですが、三月十四日以降、米国を含むあらゆる国から入国した者に対して、既に十四日間の移動制限、これは義務づけられている。さらには、空港から自宅等への移動についても、非公共交通機関の利用、日本の場合は勧告ですけれども、義務づけということになっております。

 さらには、米国防省が定めております四段階の健康保健体制の中で、上から二番目、レベルCに引き上げて、不必要な外出の制限、会議、訓練、行事の制限や中止等の厳格な衛生上の措置が実施されていると承知をいたしております。

○本多委員 私、きちんと事務方には通告をしておるんですが、大臣にきちんと伝わっていないようなので、余りこれのことをこれ以上詰めませんが、実は、アメリカはアメリカでルールをつくっている、日本は日本でルールをつくっている。ただ、この米兵の方、アメリカのルールには従っているけれども、日本のルールでいうと本当は自宅待機しなきゃいけなかったんじゃないかというケースがあり得るんじゃないかという指摘をしているんです。

 だから、こういうこともあるので、しっかりと米当局とそこはすり合わせをして、厳しいルールの方で対応してもらうようにしないと、それはアメリカはアメリカでやっていますから大丈夫ですといっても、特に沖縄なんかの方はたくさんの方が基地の外にも出ているわけで、住民の方も大変不安に思うと思うんですね。

 ですから、そういう現状があるというこのケース、細かくは、ちょっと後で事務方はきちんとレクチャーしていただきたいと思うんですけれども、通告はしているんですよ。ぜひ、こういうこと、ちょっとすき間があり得るということを、大臣、認識をしていただけないでしょうか。

○茂木国務大臣 本多委員の御指摘は理解をしたつもりであります。

 その上で、私なりに見ておりまして、今レベル2の国、日本に入ってくるレベル2の国に対して政府がかけている措置と今米軍がかけている措置で見ましたら、それは若干の違いはありますけれども、かえって米軍の方が厳しい措置をとっている、こういう状況でありますし、今御案内のとおり、もう六十日間は海外に出られませんから、日本にも入ってこられない、こういう状況であるということは御理解ください。

○本多委員 そのことは私もわかっています。三月の中旬のちょっとしたすき間にそういうことが起こり得ていたということを指摘をしておきたいと思います。

 さて、茂木外務大臣ともう一つ、ちょっと質問をしたいと思います。

 一月十七日に、この委員会では中東派遣について集中的に審議をしていただきました。私も質問をしたんですが、その際、私の前に先輩議員が質問をしたときに、ちょっとこれはいかがかなと思ったことがあるので、茂木大臣とちょっと議論をしたいと思います。

 米国政府は、当時、一月冒頭、イランとアメリカが大変緊張関係になったときに、イランの革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害をいたしました。この問題について、茂木大臣は、これは自衛権とアメリカは言っているけれどもどうなんだという我が会派の質問に対して、当事国ではないのでお答えできないという答えをしたんですね。そのとき、我が会派の議員は、クリミアのときは、ロシアとクリミアの紛争なのに、国際法違反と明確に局長が答えているんですね。これはちょっとダブルスタンダードじゃないか。

 つまり、当事国じゃないからそのことについて判断しない、この言いわけをされると、いや、全部しないのならわかりますよ、ロシアとクリミアのこともわかりませんと言うんだったらわかるんだけれども、アメリカとイランのことだけわかりません、ロシアとクリミアのことはロシアは国際法違反ですと。これでは、当事国じゃないから答えないというのはやはり理由にならないと私は思ったんですが、いかがでしょうか。

○茂木国務大臣 当事国ではないからということではなくて、お答えをしましたのは、ソレイマニ司令官の殺害に関しては、我が国は直接の当事国ではなくて、詳細な事実関係を十分把握する立場にない、こういう形、つまり、詳細な事実関係を十分把握する立場にないことから、法的な評価について確定的なことを申し上げることは差し控えたいと。

 その上で、米国はどう言っているかといいますと、国連安保理議長宛てに提出した書簡では、既に発生した武力攻撃に対する自衛権の行使として行ったものと米側は説明をしている。

 一方、ロシアのクリミア併合につきましては、日本政府としては、南シナ海の状況を始め、力による一方的現状変更の試みには一貫して反対してきている。また、ウクライナの主権と領土の一体性、この観点から、ロシアによるクリミア併合は国際法違反であり、認めない、こういう立場をとっているということでありまして、個々の事案が置かれた状況、そしてまた明らかになっている事実関係、それによって、法的な立場、法的な評価を行えるか行えないかということが違ってくるということであります。

○本多委員 そのように正確に答弁をしていただければいいんですが、大臣は、直接の当事国ではありませんので法的評価について確定的なことは申し上げられないと。事実関係はわからないということをはしょって答弁をされているんですね。こんなことをしたら、この安全保障委員会で議論できなくなるので、国際関係で起こっていることを、我が国が関係していることにしか議論ができなくなりますので、非常におかしいと思ったので、今の答弁をしっかりと今後も踏襲をしてください。

 ロシアのクリミア併合が、私は、国際法違反だというのは全く大臣と同じ考えでありますし、そういうことはいいんですけれども、何かについて答えないときに、それは日本が関係ない、第三国間のことだから答えないということを言い始めると、全ての国際的に起こっている事象について議論ができなくなりますので、以降注意していただきたい。当事国じゃないから事実関係がわかりにくいので今は申し上げられない、こういう言い方をきちんとしていただければ今後はいいと、そういうふうにお願いをしたいと思います。

 続きまして、もう一問、ちょっと通告している順番と大きく違うんですが、中東派遣のことを一つ片づけてしまいたいんです。

 私、中東派遣についてずっと問題意識を持っておりました。行っても、実はタンカーを守れるケースは非常に少ない。海上警備行動を事前に発令したとしても、突然発令したにしても、たまたま近くにいる場合とか、そういう場合しか日本のタンカーを守ることはできないし、実際に法的にもできることが限られているということで、非常に問題があると言ってきたんですが、もう一つ。

 たくさんある論点の中の一つの、四十七隻しかない護衛艦のうち一隻をここに送る。既にジブチにも一隻行っている。それぞれの船は交代の必要がありますから、四カ月たったら、一カ月、港に戻るために、その間は行く船と来る船が重なって、日本近海からは二隻護衛艦が、四十七しかない護衛艦のうち二隻が同時に日本の近海を離れる。これは、厳しい予算の中でやっとふやしている護衛艦を、例えば、それはジブチはしようがないとしたとして、また一隻を送ると、二隻がいない月がたまたま重なったりすると、四十七しかない護衛艦のうち四隻も海外に出る。私から見たら、ジブチもそろそろおやめになったらいいんじゃないか、中東は必要がないんじゃないかと思っているわけですよ。

 国内業務というか、日本近海の守り、これに関する影響が、四百隻持っているんだったら四隻ぐらい出てもいいんですが、四十七しかない中で、これは影響が出るんじゃないか。中国や北朝鮮と我々は接しているわけですよね。特に中国ですかね、船ですと。

 こういうことについて私は問題意識をずっと持ってまいりましたところ、海上幕僚長さんが、何かとんでもない記者会見をしまして、船を出すので国内の業務量を削減をするということを記者会見でおっしゃっているんですね。何を削減されちゃうんですか、これ。

○河野国務大臣 艦隻数、後で確認しますけれども、恐らく四十八ではないかと思います。それは後で調整をあれします。

 四十八の非常に限られた船の中で一隻出すということは、交代時に二隻そっちの方面に船が出るというのは御指摘のとおりでございます。海上自衛隊、そんなに余裕があるわけではございませんので、業務量がふえれば、その分どこかにしわ寄せが参ります。日本の警戒監視あるいは弾道ミサイル防衛というところに影響を及ぼすことはできませんので、今回の場合は、教育訓練の船繰りを精査をして、警戒監視などに影響が出ないように、そこはいろいろと船の取り回しをしているところでございます。

 そういう状況ですから、ジブチの海賊対処と中東の情報収集の交代が重ならないようにとか、そういう船繰りのことはしっかり考えながらやってまいりたいと思っております。

○本多委員 よかったんですけれども、その答えで。当然、弾道ミサイルの対応であるとか中国への対応であるとか、そうしたことに影響が出ないのは当たり前なんですけれども、この海上幕僚長さんの、山村幕僚長さんの記者会見は、実質的には使える船が、これは山村さんの発言じゃないですね、何かの通常国内でやる業務を削るということについても検討中、これだけ言って、この報道を見たら、これは誤解を招きますよね。弾道ミサイル防衛とか、それから近海防衛を削るんじゃないかということを私は誤解をしたので、何なんだろうなということでお聞きをしました。

 ただ、教育訓練というのも、実は自衛隊にとっては、ある種、日ごろやっていることのメーンなわけです。そこに支障が出ているというのは事実ですので、中東派遣の問題、ずっとほかのテーマがありまして、コロナのこともあってなかなか議論できませんけれども、この発言、私としては一つ問題ではないかなということで取り上げさせていただきました。

 さて次ですが、天下りの問題についてちょっとお聞きをしたいと思います。

 報道によりますと、参議院で予算が通過した直後に、陸幕、天下りあっせんか、防衛省将官級百人超を調査という報道が出てまいりました。

 皆さん記憶されているかどうかわからないんですが、二〇一七年には文部科学省においても大規模な天下りのあっせん事件が発生をしました。あのときは、一月に明らかになって、調査をするといって、三月が終わった後、またこれも予算が終わった後に報告をされるということで、当初は、予算委員会などでも連日この問題になるぐらい大騒ぎになったんです。ところが、森友学園問題、総理が総理をやめると言ったあの発言前後から森友学園の問題が大きくなりまして、すっかりこの問題も余り大きく報道されない中で、文部科学省、一定の処分をして終わったわけですが、相変わらず、あれだけ大きなことがあって、この件では事務次官も辞任をしています。

 こうした大きなことがあったのに、引き続き、陸上自衛隊でこのようなことが行われていたというのは大変残念であります。今どういう状況で調査しているのか、大臣、お答えください。

○河野国務大臣 自衛隊法に規定する再就職等規制に違反する疑いがあるとして調査が行われているのは事実でございます。

 この件につきましては、国家公務員法第百六条の十六の規定に基づきまして、内閣府再就職等監視委員会に違法行為の疑いにかかわる報告を行いました。

 そのところ、国家公務員法第百六条の十八第一項の規定に基づきまして、内閣府再就職等監視委員会から、任命権者である私による調査の要求が参りました。この内閣府再就職等監視委員会は、防衛省において調査班を組織するに当たり、違反行為に一切関与がないメンバーとするなど適切な人選を行うことを防衛省に求めた上で、任命権者による調査を行うことを要求しております。

 私のもとで、隊員の経歴を有しない法曹資格者、弁護士などである防衛人事審議会再就職等監察官により構成した再就職等問題調査班を私のもとに設置し、調査を行っているところでございます。厳正に調査を行った上、調査が終了次第、速やかに結果を公表するとともに、再発防止策を含め、必要な措置をとってまいりたいと考えております。

○本多委員 まず取っかかりのところから行きたいんですが、その内閣府の再就職監視委員会は、そこが防衛大臣に調査をしろと求めてきたんですか。その前に、まず防衛省から報告しているわけですよね、こういうことがありそうだということで。

 今回の防衛省の天下り問題の発覚のきっかけとは何だったんですか。手短にお答えいただきたいと思います。

○河野国務大臣 今回のこの問題は、物的な証拠というよりは、さまざまな関係者の聞き取り調査によるところが非常に大きいということが、事案の性質上、ならざるを得ません。そのために、この調査の端緒あるいは時期、期間といったものにつきまして、これは調査が終われば全部公表いたしますが、今の時点で、聞き取りを行うに当たる前にこうしたことを申し上げるのは調査を妨げることになりかねないという指摘がございますので、調査が終わり次第これは完璧に公表いたしますが、今の時点は差し控えさせていただければと思っております。

○本多委員 別に個人名とか、そういうことを聞いているわけではないんですが、こういう行動の中でわかったぐらいの答弁はしていただけないんですかね。

 なぜかというと、きょう私、文科省天下りが発覚した直後の二〇一七年一月二十六日の予算委員会の議事録を持ってきているんです。河野大臣、その当時大臣じゃないですけれども、質問に立たれて、「今回の文科省の天下り問題の発覚のきっかけとなったのは何だったか、手短にお答えいただきたいと思います。」と質問しているんですよね。

 今度は私が同じことをそのまま聞いたんですが、議員のときは聞かれて文科省に答えさせていることを、大臣になったらお答えいただけないということなんですか、これ。

○河野国務大臣 そういうことでございます。

 なぜかといえば、今私のもとに調査班をつくって調査をさせている中で、これから何がどう行われるかということは聞いておりますが、中身については私もタッチをいたしませんけれども、この聞き取り調査に相当分よらざるを得ない、この聞き取り調査がきちんと行われることが大事であるということを認識をしておりますので、お答えを差し控えるというお答えをせざるを得ないということでございます。

○本多委員 最近、安倍政権は、不祥事が起こると、いろいろなところで調査委員会をつくって、四カ月も五カ月もほっぽらかしたあげくに、ほとぼりが冷めたときに報告書を出してちゃんちゃんという、関電問題もそうですよ、あの稲田大臣のときの日報問題もそうですよ、国会が閉じているときに報告書が発表されてくるんですよ。

 我々、文科省の天下りのときはもうちょっと情報をちゃんと出して、きちんと質問しているんです、予算委員会でも何回も。

 それを今回、あれだけ厳しくあのときに攻撃していた河野大臣としては全く、僕は、天下り問題に土地カンがありますから、河野大臣は変な大臣がやるよりちゃんとやってくれると信じたいですが、しかし、もうちょっと我々にも情報を少し出しながら、皆さんの独自調査とあわせて国会も、だって、こんな天下りであっせんされていて、どんな利害関係があって我々の予算が無駄遣いされているかわからない大問題なわけで、国会にも報告書まで待てというのは、それは理屈としてどうですか。

 もうちょっと、調査して、影響の出ない情報は、影響の出る情報もあるかもしれません、皆さんの調査が一義的です、我々は捜査権があるわけじゃないんだけれども。だけれども、何か発覚したときに、調査班をつくれば国会で何も答えなくてよくなるというのはおかしいんじゃないですか。

○河野国務大臣 別に何か隠蔽をしようと思っているわけではございませんし、これはしっかり調査をしなければ自衛隊に対する国民の信頼にもかかわってくる問題だと非常に重く受けとめているところでございます。

 ただし、しっかりとこれは調査をやらなければなりません。今の時点で、私から何かお答えができる状況にはございません。ただし、出せる状況になれば、出せる情報については出したいと思っておりますし、調査が終われば全て公表するということはお約束をいたしたいと思います。

○本多委員 もちろん、調査が終わったら出していただいて、それできちんとこの場でも、両理事にもお願いしたいですけれども、集中審議ぐらいやってもらわないと、全然、このことについて何も情報をいただけないわけですよ。きっかけもだめ、人数の規模感もわからない。

 それで、河野議員のこの予算委員会の質問を参考に私も質問させていただきますけれども、このとき、大変お暴れになっているんですよ。調査の仕方が悪い、泥棒に泥棒の見張りをさせても意味がないという言葉を、与党の議員なのにおっしゃっているわけですよ。つまり、文科省が内部調査すると言っているんですよ。それはだめだろう、こういうことを河野大臣は言われているんですね。霞が関が霞が関の問題をただ調査しただけでは世の中の信頼は得られない、この調査に当然外部の目が入ると考えてよいですかと。

 一応、今回、調査委員会、調査班のメンバー、それは弁護士ですよ。しかし、ふだんから防衛省から給料をもらっているじゃないですか。給料をもらって監査の仕事をしていて、おまけに、今回、疑惑は、この監査委員会はただ飯を食っていたわけですよ。この人たちが発見したんじゃないんですよ。つまり、自分たちが給料をもらって本当は監察しなきゃいけないものを発見できないで、ばれた後にやると。

 こんな人たち、いや、この人たちも詳しいと思いますので入っていてもいいですよ。しかし、少なくとも外の人間を入れるべきじゃないですか、大臣のこのころの主張からいったら。これは相当、大臣と公明党が暴れて入ったんですよ、文科省のときは。ぜひ、その同じことをしていただけないですか。

○河野国務大臣 私が九六年に初めて当選してから二十年以上になりますけれども、予算委員会で質問させてもらったのはそのときだけじゃないかと思います。それぐらい一生懸命やりました。

 当時は、文部省の人間が調査をするということだったので、それはおかしいだろうということを申し上げました。

 今回は、常勤の再就職等監察官とそのほかの弁護士がこの調査に当たるわけですから、これは隊員歴もございませんし、完全に外部の人間がやることになりますので、しっかりやってもらえると思っております。

○本多委員 これは外部なんですか。ふだんから防衛省で職業をされている皆さんなんですけれども。

○河野国務大臣 これは、内閣府の再就職等監視委員会からも言われているとおり、隊員歴を持たない人間でございますので、これは外部の目がしっかり入ってやれるというふうに思っております。

○本多委員 隊員歴は持たないけれども、防衛省の内部の人間ということでよろしいですね。

○河野国務大臣 これは、そもそも、再就職等監察官でございますから、一人は常設の監察官でございますし、残りは弁護士でございますので、これはもう外部の人間と言ってよろしいと思います。

○本多委員 これは、来週また審議があったら、ちょっと確認してから質問しますけれども、これは全部、日ごろから非常勤でやっている、非常勤だけれどもお給料をもらっている人ですよね。

○河野国務大臣 非常勤で給与をお支払いしております。

○本多委員 内部だと思うんですよ。これは言い合ってもしようがないんですけれども、ここまで言っていた大臣、これははっきり言って、いいですよ、ここ主体でやっても。

 私は、河野大臣じゃなかったら、天下りに関心のない大臣だったら、これはまあ、なあなあでやられる可能性はあります。そして、今、世の中はコロナで、私が一生懸命質問したって、余り世の中の人は興味がない、何を言っているんだろう、あの人と思われているかもしれませんが、一個一個やっていかないとだめなんですよ、こういうのは。

 文科省のときもそうなんですよ、森友で隠れて。だから、結局、これは大臣、私はとんでもないと思うんですよ。時期の問題というのも、今、時期さえ教えてもらえないんですけれどもね。文科省のあの事件を、あれを見て、事務次官まで辞任しているのを見てからやっていたらどうなんですか、これ。とんでもないと思いませんか。

 それから、その前だったとしたら、何が起こるかわかりますか。あのとき、本当に文科省だけなのかと、安倍総理の指示で全省庁調査というのを、大変プレッシャーをかけようと思って持ってきたんですけれども、分厚いのを。資料で配ってもよかったんですけれどもね、全省庁調査というのがあるんですよ。防衛省は潔白でございますと答えているんですよね。これはどっちも詰んでいるんですよ。

 いいですか、これ。あんなふうに文部科学省の次官までやめる大騒ぎ、たくさん処分も出ました。あれの後にこんなことをやっていたら、これは本当だとしたら大問題。

 それから、これは本当に文科省なのかということで安倍総理が全省庁に呼びかけてやった調査に、うそを答えていても大問題。これはどう思いますか。

○河野国務大臣 それは河野太郎が責任者でやるんですから、問題ございません。しっかりやります。

○本多委員 期待はしますよ。だけれども、しっかりと我々にも、この問題を、ちゃんと情報を、先ほど大臣、途中で言いましたので、調査が終わる前でも出せる情報は出すということだったので、しっかりと情報を出しながら、これは省庁だけでやっても限界があるんですよ、やはりいろいろな。

 この弁護士さんだけの事務方は誰がやるんですか。厚労省のあの統計不正のときとかは、一応、外部の人を入れたっぽくやっているんだけれども、全部官房長の人が事務回しして、我々はこんなのは信用できるのかとなったんですけれども、事務局はどこがやるんですか。

○河野国務大臣 事務局は内局がやるんだそうでございますが、そこはおかしなことにならないように、私がしっかり監督します。

○本多委員 大臣への信頼関係だけで全部信頼しろというのは、ちょっと、そんなわけにいかないんですよ、我々立法府としては。

 まず、調査班に、少しでも本当の、防衛省でふだんから、非常勤とはいえ、防衛省から給料をもらっていない人を入れる考えはないですか。

○河野国務大臣 そこは、しっかり状況を見ながら判断をしていきたいと思っております。

○本多委員 大臣の意気込みプラス、こんな小さな入り口で、別に、だって文科省でさえ入れたんですよ。大臣からしたら、とんでもないと、いろいろな発言をされていますけれども、あのだめ役所の文科省、こういうことを言うと怒られるんですかね、いろいろだめな不祥事がたくさん発生している文科省でさえちゃんと外部の人間を入れてやったので、ぜひちゃんと調査していただきたいと思うんです。

 それで、実はもう一点ありまして、これは実は、あっせんは今しちゃいけないということになっているんだけれども、大臣はこのときも問題意識を言っているんですよ。そもそも、だから、自民党がやったあの天下りの法改正がよかったのかということなんですね。五年、二年ルールをなくしたわけです。五年間やっていた職業と関係のあるところに二年間は行けないというルール。我々は反対したのに変えて、あっせんがなきゃいいんだよということにしてやったわけですよ。ところが、あっせんしなきゃ本当に、五年間いろいろ発注を出していた部署の人間が、ここにもたくさん出ていますけれども、三菱重工とか、そういう軍需品を受けている会社に天下りをしていいのかという問題が一つあるんです、もう一つ。

 これは、今の法律では正しいけれども本当にそんなことでいいのかということで、実は我々野党は、去年、余り誰にも注目されなかったんですけれども、これは大臣、ぜひ参考に見ていただきたいんですけれども、こういう予備的調査、衆議院の調査局を使って、全省庁の天下りした人間、合法的に天下りしているけれども実は前のルールだったらだめな人、つまり、五年関係した部署から発注を受けている、そういう会社に天下った人を、赤いリストで該当というのを出したんですね。

 私も、これはもらって部屋にあったんですけれども、今回やっと見て、いやいやいやいや、金融庁は四二%も該当しているんですよ。財務省も六〇%も、前のルールのままだとできなかった天下りを平気で、あっせんがないからといってしているんです。

 実は、この調査のときに、防衛省に関してだけは、特別公務員なので調査するのを忘れちゃったんですよ、我々。だから、防衛省だけないんですけれども、実は大臣、大臣の問題意識からすると、この調査もしていただきたいんですよ、この際。つまり、非常に大きな額の発注をしているんです。

 だから、違法かどうかは別として、あっせんがあったらもちろん、これは今の法律でもだめなんですよ。あっせんがあって関係していたら一番最悪ですよ。だけれども、あっせんがなくても、こういう関係先との天下りが大量に防衛省はあるんじゃないかと私は思うんですけれども、いかがですか。

○河野国務大臣 私としては、まず、今行っているこの事案に関する調査をしっかりやることを優先したいと思っております。

○本多委員 そうお答えになると思ったので、私も、これは単なるミスで、防衛省だけ抜けちゃったんですよ。特別公務員なので、調査のリストから漏れちゃったので。

 改めて、うちの国対などにもお願いをして、会派で相談をして、防衛省の分も調査をかけて、多分、そこの調査局の人たちが大変なことになると思うんですけれども、しかし、リストはもうあるわけです。これが該当するかどうかを防衛省にしっかり調べてもらうという調査を、いずれできればお願いをしたいなと。理事も、ぜひお願いをしたいと思います。

 これは、そちらでやった調査とあわせて突合をしていきたいなと思っているので、ぜひ、こういう観点もあると。それは大臣も、大臣になる前に委員会などで言っていた問題意識と近いところがあるので、まずは今回の調査に集中をしていただきたいと思います。

 それで、大臣、調査のめどですね。これは出してもらわないと、きょうは私、帰るわけにいかないんですよ。これだけ何も言ってくれないんですよ、あの文科省のときと比べても。それで大臣は、私に信頼しろと言うので、まあ、ちょっとだめ議員みたいになっているんですけれどもね、今。しかし……(発言する者あり)よろしいですか。仲間に言っていただいているんですけれども。

 じゃ、この期限はちょっと、大臣も、済みません、このときの予算委員会の大臣の議事録がすばらしいので、これに倣って言うと、当然ですけれども怒っているんですよ、河野さんは。そんな時期でいいのか、もっと早くやれとおっしゃっているわけです。ぜひ、めどを示してください。

○河野国務大臣 だらだら不必要な時間をかけさせるつもりはございません。

○本多委員 通常国会が、延長がないと思うんです、何となく。我々に審議の余地を与えていただける間には結論を出していただけますか。

○河野国務大臣 どれだけの調査量になるのかまだわかりませんので、それはまだ何とも申し上げられません。そこは私がしっかり見ます。

○本多委員 うちの理事には、筆頭には七月ということを事務方が言っているそうなんですが、それはまさに、また例によっての国会閉じてからパターンだと思うんですね。それは何とか勘弁していただけないですか。またほとぼりが冷めて、臨時国会もいつかわからない。このことについて議論できないじゃないですか。

ぜひこの国会中に、我々が審議できるときまでに調査をして、少なくとも中間報告みたいなものを出していただけませんか。我々、これだけ、何の情報もないんですよ、規模感も。それをきょう私、質疑しているわけですから、少なくとも、できれば本報告が欲しいですよ、今国会中に。どうですか。

○河野国務大臣 調査が進み次第、どれぐらいのスピードで行われるのかということは、きちんと把握をしていきたいと思っております。

○本多委員 もちろん時間がかかる調査もあるんですよ。しかし、ずっとやられてきているんですよ。稲田報告書、関電報告書、調査していますから途中では何も議論できないと。そして、必ず国会が閉じた後に出てくるというパターンを繰り返して、行政監視の、そして我々は我々で調査しますよ、本当に関係先なんじゃないのかということを。しかし、出てきてからそれを突合する、国会が閉じている、これじゃやはり困るので。

 私は、河野大臣、ここまで天下りの問題、大臣になる前からやられていた方で、それが残念ながら、自分が担当している省庁で出てしまったわけですよね。だから、まあ、ある程度ほかの人より信用しているんですよ、私は。ただ、スピードも大事なんです。大臣の立場からしたら、それは役人の皆さんから、いやいや、そんなことを言われても事務手続がと言うけれども、国会、大臣、こっちにいたらどう言いますか。また国会を閉じた七月に出てきていいと言う人はいますか、我々。ばかじゃないですか、それだと。  ぜひ、ちょっともう一声お願いしますよ、それは。

○西銘委員長 申合せの時間が来ておりますので、御協力をお願いします。

○河野国務大臣 やや信頼ではなくて、絶対的に信頼して構わないと思っております。やれるところはしっかりやりますし、だらだらと時間をかけた調査をやらせるつもりはございません。

○本多委員 それでは、この国会中にこの場で私が、調査局さんにやってもらうのかどうかわかりませんけれども、しっかりこういうものも持ってきて、そして、やはり前から言われているわけです。それで、防衛省は繰り返してきたわけです。当然、そのときも、反省をすると言ったり次官がやめたりいろんなことを繰り返してきて、また起こっているんです。僕は、このあっせんがなければいいなんていうルール自体も、本当にルール自体もわからないですけれども、そのルールさえ守れないわけです、報道が本当だったら。

まず、ここは、たまたま大臣だった河野大臣、天下りの問題には大変昔からやっていらっしゃる大臣のことを信頼して、この国会で調査の議論がしっかりできる、そのことをお願いをして、私の質問を終わります。  以上です。