衆議院-決算行政監視委員会第三分科会 2005年(平成17年)04月26日




「15年度決算外2件」農水省所管分に対する質疑

○本多分科員

 民主党の本多平直でございます。 きょうは、質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。私も、図らずもなんですが、近藤議員と同じく花粉症の問題について、農水大臣に主に御質問をさせていただきたいと思います。

 日ごろいろいろな問題に一緒に取り組んでいる近藤委員ではありますけれども、本当に、連続して相談せずにこういう質問が出てくるということが、大変それで困っている方が多いということをぜひ御認識いただきたいと思います。

 まず最初に、この病気について、具体的な公式見解というより一般的な印象として、どれだけ多くの方がどれだけ苦しんでいるかということを、どれくらい大臣、御認識をいただいているか、一言お聞かせいただければと思います。

○島村国務大臣

 先ほど厚生労働省の方がある調査をもとに一二%、こう言われましたが、私は隣の岩永副大臣に、倍じゃないか、こう申したところですが、最低でも四分の一ぐらいの方はまず苦しんでおられるように思います。

 ただ、これもその話の中で出たんですが、これは花粉だけでもないらしい、いわば一般の大気汚染その他の影響とか食物とかいろいろな影響もやはりあるらしいぞという話をしたところですが、その一つの考え方の根拠は、専門的にもそういうふうに指摘されているところですけれども、必ずしも花粉の多いところの人が花粉症に苦しんでいるとは言い切れない。例えば、都会の人が殊さらに多く花粉症に苦しみ、むしろ杉花粉その他がたっぷりあるようなところの人が意外と平気でいる。これはなれとかいうことでなくて、免疫とかそういうものではなくて、多少何かいろいろな複合的な要素が基本になってはいないか、そんなふうには思っているところです。

 さはさりながら、その主犯は何かといえば、何といっても、杉であり、ヒノキであり、その他、稲にもあるそうですが、いろいろな花粉が一番のもとだ、こういうことですから、これらについては、これから十分に対応していかなきゃいけない、即席とはいきませんが、最善を尽くしてこれに努力する、現代病に対する対応の責任だ、こう考えています。

○本多分科員

 ありがとうございます。 まず、ほかの要因との話、ほかの要因と連動している可能性はもちろんあると思います。しかし、これに関しても、実は各省庁いろいろ聞きますと、両説あるんですね。排気ガスとの関係があるのではないかという方とないのではないかという方と。

 しかし、このことは、既に大臣が一二%の二倍という非常に厳しい認識を示していただきました。それだけ多くの方が苦しんでいる。二カ月ぐらいにわたって、もっと長い方もいますが、苦しむことですから、まずは杉が主犯であることだけはきちっとお認めをいただいているわけですから、これはもちろん関係省庁の連絡も大事です。厚生労働省、文部科学省さんもいろいろ研究をしていただいて、治す方の努力をしていただいていることは努力を多としているんですが、実はやはり林野庁さんが一番ある意味での加害者であることが事実なわけでございまして、私は、ここはしっかりとその認識をお持ちをいただきたいときょうは思っています。

 それで、まず、林野庁さんがどんな対策をとられているか、私も勉強したんですけれども、一度お答えをいただければと思います。

○大口大臣政務官

 私も、実は軽い花粉症でございまして、本当に、皆さん大変苦しんでおられるということについては、これは政治がきちっとやっていかなきゃいけない、こういう認識でございます。

 そういう中で、農林水産省といたしましても、平成八年度から花粉の少ない杉の品種の開発に全力を挙げて、そして花粉の量が一%以下のそういうもの、百十二の品種を開発したところでございます。この花粉の少ない杉の品種については、平成十一年度から平成十五年度まで約二十四万本の苗木を供給してきたところでございます。また、今後もこれはしっかりやってまいりたい、こういうことで、今後の五年間で約六十万本を超える供給を見込んでおります。

 また、本年一月に開発されました無花粉杉につきまして、これは今後、供給体制の整備を今図っているところなのでございますが、平成二十三年ごろから苗木の供給が開始できる、そういう見込みでございます。

 今後、花粉の少ない杉の品種に加え、無花粉杉の品種の普及にも努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

○本多分科員

 私も、実は最初民主党の勉強会か何かでこのことを林野庁の方から御説明いただいたときに、ああ非常に頑張っていただいているんだな、いいことだなと最初は思ったんです。

 ところが、この二十四万本とか六十万本という数字を聞くと、頑張っていただいているんだなと最初思ったんですけれども、実は日本には杉が百億本あるそうでございまして……(発言する者あり)五十億ですか。そのうちの二十四万、六十万というのは、それも五年かけてと言われますと、やらないよりはもちろんましなんですが、果たしてそれで対策と言えるのか。

 これに関して、国有林はこの方針で植えかえる場合はやっていただくのが当然だと思うんですが、その確認をしたいのと、民有林の場合は、当然民間の方がどういう木を植えていくかという最終的な判断はある程度お持ちなわけで、なかなか強制力も持ちにくいんですね。

 ですから、こういう低花粉、無花粉ができたよということでぬか喜びを患者さんにさせるのは申しわけなくて、できたものをどう普及させていくのか、これについてちょっとお考えをお聞かせいただければと思います。

○大口大臣政務官

 今先生おっしゃいましたように、例えば平成十五年度における杉の苗木の全体の供給量というのは一千五百万本なんですね。そうしますと、花粉の少ない杉の品種の割合というのは〇・三%、こういうことでございます。それを今度は二・五倍にしていこうというレベルでございますので、大変そういう点では、それでやったと言えるのか、こういう御指摘もあるわけでございます。

 そういう点で、私ども、もちろんこれは時間がかかることでございますし、先生も御案内のように、まず林木育種センターというところで、花粉の少ない杉だとかあるいは無花粉杉の新品種を開発して、それを都道府県の採種園だとか採穂園での母樹とするための苗木を配付する。それで、都道府県でこの苗木を用いて種子や穂木を採取するための母樹を育てて、その母樹から種子や穂木を採取する。そして、その種苗生産業者は都道府県から種子や穂木の配付を受けて、これから山に植えつける、生育できるようになるまでの苗木を育てて、そして森林所有者にこの苗木を供給する。

 こういうことで、すぐできればいいんですけれども、こういう手順を踏んでいかなきゃいけない、こういうことがありまして、私ども、こんなのでは対策とは言えないんじゃないか、もっとスピーディーに、また量も多くして、こういうことで督励をしておるんですが、時間も相当かかるということで、さらにこの量を多く供給できるような研究開発に努めてまいりたい、試験研究の推進に努めてまいりたい、こういうことで督励していきたい、こういうように思っております。

○本多分科員

 大口政務官も花粉症の軽いものをお持ちだということで、こういう質問をしているから想像はつくと思いますが、私もそうでございます。しかし、もちろん自分がというだけではなくて、多くの国民の皆さんを代表しているつもりで質問させていただいております。

 今のお答えも、まあ私も一たんわかっちゃうんですよ。林野庁の方から時間がかかるんですよ、この世界はと言われると、いかにもそういう感じはするんです。確かに、ほかのものよりいろいろ政策の転換に時間がかかる分野ではあると思うんですが、だからこそ今やれることをマックスやったって成果が出るのが十年後と言ったら、これでも困っている方は怒るんですよ。

 ところが、私は今の林野庁さんの感覚だと、これは四十年後に解決しますよというような程度の話なんですよ。やはり例えば六十万本というのも、とりあえずこのぐらいやってみましょうという本数ではないかと私は推測するんですよ。つまり、いろいろ種をつくるところ、苗木をつくる能力というのもこれはマックスなんですかね。

○島村国務大臣

 ことしの初めごろですかね、去年の秋ごろからこれはわかるわけですが、ことしは大変ひどい杉花粉だろう、こんな予測が出ました。私は、すぐまた従前のものより念を押して勉強しました。

 その際に、やはり、にわかにできないということは、今言ったように四百五十万ヘクタールだし、五十億本だし、これに対していわば杉花粉を出さない杉を開発したということですが、一%未満の百十二種類ですか、さらには無花粉杉まで出した、すごいことだと思いますし、またもう一つは花粉退治のために、何か雄花の集中したものが遠くから見るとわかるそうです、その部分を重点的に排除してしまうという方法も考えられた。

 実はそれだけにとどまりませんで、今度は食べ物の分野からこれを打破しようというようなことから、農林水産省の研究プロジェクトとして平成十二年度から本格的に着手しているわけですが、遺伝子の組み換えによりまして、いわばその技術で、杉花粉症の原因物質の一つであります米、これに導入をしまして、何をするかといったら、杉花粉を外敵とするのではなくて食物と認識するように、むしろアレルギー反応を抑えることが期待できるように、これを一定期間食べるんだそうです。そうすると、いわばアレルギー反応を起こさなくなるという効果もあるんだそうで、結局は、食べるものあるいは経口的な何かのものによってこれに対する人間の適応力といいますか、そういうものを強くするという面も当然に研究しているところです。

 現に、この組み換えの稲はもう作出済みで政策ができています。問題は、あとは、いわば生物多様性への悪影響がありやしないかとか、あるいは食品として安全性をやはり確認する必要がありますから、こういう点の検討も今しているところだそうであります。

 あらゆる面からいわば花粉に対する対策を練っている。実は私も花粉でやられているわけなんであります。

○本多分科員

 大臣もということ、聞こうと思ったんですけれども、人に病気を聞くのもまあどうかと思いまして、大臣からおっしゃっていただいて、それは本当に気持ちがわかっていただけると思います。

 私も米の話も聞いておりまして、それはそれで頑張っていただきたいと思います。ですから、先ほども言ったとおり、厚生労働省も薬の方もやって頑張っているんですね。もちろんそうなんですが、しかし、いい米で体質改善をしようが、いい薬ができようが、やはり今ちょっと極端に杉とヒノキという品種に偏って、そのときはそのときの事情があったでしょうし、こうなることがわからなかったので、もちろん直接に損害賠償請求をされるような話ではないことを祈りたいんですけれども、しかし、特定の品種に偏っているというこの現状を変えていくことも、幾らいいお米ができようが、幾らいい薬ができようが、必要なことで、今やり始めても何十年、短くしても十何年かかることです。

 ですから、それはほかの対策をやっているからということとは関係なく、木の話はぜひやっていただきたい。

 マックスかどうかというお答えはいただけなかった気がするんですが、例えばこれは都道府県がやること、民有林でやることもあるわけです。できるだけ督促しています、都道府県にもできるだけこの苗を使うように通知をしていますというのはわかるんですけれども、ある程度数値目標のようなものを、これだけ多くの方が困っていることですから、どうでしょう、何年後にはどれぐらい、ある意味二十四万本、六十万本というのは最初の段階でございます、どれぐらいの割合にいって、いずれは何十%は無花粉にするんだよというような目標というのは示していただけないんでしょうか。

○大口大臣政務官

 六十万本ということでございますけれども、これは今後五年間において花粉の少ない杉の品種の供給量というのは、原母樹からの穂木の配付量をもとに採種園そして採穂園の造成を最大限見込んでおるわけでございまして、これまでの五年間の供給量の二・五倍を見込んでおるということでございます。

 それと、今大臣も御答弁されましたが、雄花の多い杉の森林を重点的に間伐するということは、これは二〇%を抜くと五〇%ぐらいの花粉の減少になるということでもございますので、雄花の多い杉の森林を重点的に間伐する、これもしっかり進めていきたいと思います。

○本多分科員

 今の状況ではマックスということなんですけれども、私もそこをもうちょっと勉強したいと思いますし、せっかく同じ症状をお持ちの大臣、政務官がいらっしゃるうちに、役所の方々はできない理由を言うことが多いということはお二人もよく御存じのとおりだと思います。ですから、それをもう一歩アクセルをかけるのが政治家の仕事でございますから、お二人の支持者の方にも多くの患者の方がいると思いますので、ぜひ、この数字が本当にマックスなのかどうか、予算が足りないんだったら、ここの部分を財務省からとってくることに文句を言う政治家はいないのではないかとも私は思いますし、予算がネックであるならばそういう方法もあります。ですから、政治的な意思でできる部分では、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 そして、新しい品種の話と同時に、今もう既に政務官の方からもお話をいただきましたように、別な手段ですね、雄花の多い木を抜き切りする、間伐する、枝打ちする。私も初めて林野行政を勉強したんですが、こういう通常の森林の管理でもやるようなことというのも、ある程度花粉症の対策にもなるということなんです。

 私はこれを勉強してみて、実は今林野行政というのが大変な危機に陥っていて、つまり、人手が足りない、お金が足りない、それから、木を切っても結局安い値段でしか売れないから切らないでほうっておいた方がいい、こういういろいろな要素が重なって、通常行われる間伐でさえ放置をされている例がある。そうなると、ましてや花粉症対策のための間伐をやれと言ったって、なかなかそう林業を普通に経営されている皆さんがすぐに動いていただけるとは私は思えないのでございます。

 それで、こういうことに関して、つまり、花粉症対策としての間伐もそうです、絞ってもいいんですけれども、間伐とかそういう抜き切りのようなものをしっかり進めていくために今林野庁さんとしてはどんな対策をとられているんでしょうか。

○大口大臣政務官

 間伐をしっかりやっていこうということで、今現在は我が国の人工林はいまだ七割以上が育成途上の段階にありまして、花粉の発生を少しでも抑制するとともに、健全な森林の育成を図っていくという上でも、間伐の適切な推進というのは重要、こう考えております。

 それで、農水省といたしましても、本年度から、団地化による効率的な間伐の推進や間伐材の利用の促進などに総合的に取り組む間伐等推進総合対策に取り組むことにしております。それと、先ほども御答弁させていただきましたように、雄花の多い杉の森林に重点を置いた間伐を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。

○本多分科員

 多分やられることはやっているんだと思います。ただ、今私が言った、間伐が行われていないという、林野行政を本当に初めて勉強した人間の認識というのは当たっているんでしょうか、今の日本の山というのは。

○大口大臣政務官

 とにかく価格が低いということで、要するに、森林を経営しても経済的に成り立たないといいますか、赤字だということを聞くわけです。さらに、間伐までするというよりも、それを放置した状況になっているというのが今の現状なわけでございます。そういう点で、もちろん間伐について国が五割、地方で二割と七割の補助をしたり、いろいろそういうことについてのことはやっておるということ。

 それから林道なんかも、一番作業しやすい、作業の役に立つような林道というものの整備もしてほしいという要望もありまして、そういうことも考えていかなきゃいけないと思いますし、いろいろやっていかなきゃいけないことがある。

 それから、今、森林組合法の一部改正法がこれから、提案させていただいておるわけでございますけれども、森林組合を活用して、団地化などによって林業の経営対策を進めてまいる、こういうこともやっていきたい。 それから、住宅の供給会社、大手の供給会社と大臣、副大臣、政務官でこの前懇談しました。林野庁とそれから国土交通省住宅局にもアドバイザーとして入ってもらってやったわけです。そしてその中で、我々としても、やはり大手の住宅メーカーに国産材をしっかり使ってもらいたい、こういう要望もしました。住友林業では、あそこは国土の千分の一ぐらい持っているそうです。あそこは四割ぐらい国産材を使っているそうです。自分のところの木を使う。ただ、森林経営においてはまだ赤字だ、こういうお話でございました。

 それで、その住宅メーカーに対して国産材を使ってほしい、こういうふうに申し入れをしたんですが、それに対して、一つは品質、ある一定の量、それから価格、こういう面においてやはり生産者の方もそういう供給体制というのをきちっとやってもらいたい、こういう要望もありましたものですから、さらに今後もこういう国産材を使ってもらうような体制ということをやっていきたい、こういうふうに思っております。

○本多分科員

 間伐とか枝打ちという森林の管理の面も、花粉症対策としてもですけれども、当然これから日本の、近藤委員からも指摘があったように森林は大切な財産だと私は思っておりますから、そのためにもしっかり予算をかけても、林道とか余計な一言がなければ大変いい答弁だったと思うんですけれども、政務官も御存じのように必要な林道もありますけれども、明らかに必要ではないような林道をたくさんつくってきた、スーパー林道と呼ばれるような林道をつくってきたという過去も林野庁にはあるわけですから、予算の使い方をしっかりと監視していただきたい、本当に必要なところに予算を使っていただきたいと思います。

 それで、いろいろ新しい品種、そして間伐という管理、両面あるんですけれども、私がちょっとびっくりしてしまったのを教えていただきたいんですが、実はまだ杉を植えているんですよね。白書を見てびっくりしたんですけれども、これはどういう理由でこの時期に、つまり新しく植えるということは、低花粉、無花粉は間に合わないわけですから、花粉の出る杉を今かなり植えている。これは別な品種に変えるとか、もう杉林を全部燃やしてくれという世論がある中、杉を植えているというのはどういうことなんでしょうか。

○大口大臣政務官

 杉は、とにかく我が国を代表する造林の樹種であるということはそうで、そしてまた造林の技術も確立をしている、それから木材利用上も重要な役割を果たしているということはそうなんですね。

 ただ、いずれにしましても、適地適木の観点から杉を植えられているというふうに考えられるわけでございますけれども、例えば、昭和四十五年に、人工の造林面積というのは三十六万ヘクタールなんですね。このときに、杉の植樹というのは十二万七千ヘクタールで、人工造林面積のうち杉の植林面積は三五%だったんですね。それが、今平成十五年はどうかといいますと、二万五千ヘクタールなんですね、人工造林の面積が。ですから、七%ぐらいになっているんですね。かなり植える面積自体が少なくなっている。九三%ダウンして七%。そして、杉の植栽自体は六千ヘクタールということで、昭和四十五年からしますと大体五%弱になっているんですね。それで、この場合の割合は二四%。ですから、人工造林の面積における割合もかなり狭まっているということでございます。

 ですから、全く杉を一切植えてはならぬということまでは、これはやはりそれを強制するということはできないわけでございます。

○本多分科員

 だから、その辺がもう一息踏み込んでいただきたいところなんです。つまり、もちろん、民間への強制とか自治体への強制というのはなかなか難しいと思いますけれども、国としてなかなか減らしていく、切っていくというのは、ばあっと全部切れという世論、一般の方の気持ちもあるんですよ。しかし、それが難しいのは私も勉強してわかってきたんですが、さらに、植えている量が、もちろん前から減っているのは政務官の御説明でわかりました。

 しかし、今この時点で花粉の出る杉を植えていることには、さすがに私は、世論の理解はほとんど得られない、特に花粉症の被害に遭われている方の理解は得られないと思います。

 そして、私は、杉の割合的にも、やはりこの何年間の政策で、偏って杉が多くなってしまっている。つまり、花粉症の問題がなくてもこういうものは、もちろん適地適木というんですか、それは必要だと思います。しかし、バランスをとるという観点からも、今新たにわざわざ杉を植えていく必要というのは極めて例外的なケースに限るように、検討をちょっと事務方に指示していただくお考えは、大臣どうですか。

○島村国務大臣

 杉花粉に苦しんでいるのにまた杉を植えている、理屈としてはそう出がちなんですけれども、実は、木もある程度の年限がたちますと、これは使用に供することができる。これを切った後ほっておきますと、災害につながります。だから、これはやはり手を入れざるを得ない。とりあえず今は、花粉をほとんど出さない、あるいは無花粉というものを鋭意やっていますが、とてもとても数量的にまだ間に合いません。したがって、大きな木を切って小さい木を植えるということにおいてはやむを得ない、経過的な措置ということであります。しかし、数字の面積も大きく減っておりますから、その意味では、こちらも野方図にこれを植えて場つなぎをしているという意味とは全く違います。

 先ほどちょっと御指摘があったんですが、林道に対する理解というのが、一方的に悪であるというふうに、こう言われがちなんですが、実は、林道と一般の道路とを、お互いが連携もなしにそれぞれがそれぞれの立場でつくった、あのいわばバブルの時代にはお互いに予算がたっぷりあり過ぎましたから、政治的にもいろいろ使われた面がある。今、そういうことはもうまるっきりありません。むしろ、林道があることによって間伐がしやすくなって、いろいろな意味であります。

 ついでに、一つ御参考までに申し上げますが、私も驚いたんですが、五十年物の杉が一本立ち木で幾らするか調べてみたんです。初め信じがたかったんですが、三千円なんだそうです。ヒノキで四千二百円なんです、立ったままですと。要するに、これを切って運んで製材するからめちゃくちゃ高くなりますが、日本の材木はなぜ高いのか、しかしもともとはめちゃくちゃに安い、ここに不採算な面が具体的に出ているように思いますので、念のため申し添えます。

○本多分科員

 その辺もまたしっかり勉強して、機会があれば御質問したいと思います。

 しかし、時間がなくなってきましたので、ぜひお願いなんですが、私もはげ山にしようと言っているわけじゃございません。別な品種、広葉樹もありますし、もうちょっと品種を散らす研究をぜひしていただきたいと思います。 そして、これは実は林業政策全体にもかかわることなんですけれども、先ほど近藤委員の話の中にも、直接支払い的なものが補助金でやられているといいます。私も、実はもう林業の世界、皆さんの方針も転換をしてきていると思いますけれども、やはりこれが国際貿易のルールから阻害はしないようにしなきゃいけないんですけれども、国土の保全なんだ、そういう観点で、直接支払い的な、ある種国策としての、お金を使って保全をしていくという方向に転換をしていく。

 そういった中で、民有林だから自治体にお願いするという意味じゃなくて、ある程度、まさに花粉症の健康被害など、県境を越えて飛んでいる話でございまして、一生懸命やっている県、違う県とあったって、隣の県から西風で花粉は飛んでくるわけでございますから、僕は、これは国策でしっかりとやっていただく。

 民主党も、これからどんどん地方分権を進めるべきだと考えていますけれども、ある種しっかり国策でやるべき分野なんじゃないかと思っておりますので、この二点、直接支払い的な林業というもの、それから、ある種の中央でしっかりやっていくべき分野ではないかという指摘に関しては、いかがお考えでしょうか。

○大口大臣政務官

 その前に、杉につきましては、木材の利用上重要な役割も果たしているということも御理解いただければ。

 それと、林業への直接所得補償の導入につきましては、収入を林業に依存している森林所有者というのはごく一部でございまして、これは、家計充足率六割以上の方が〇・二四%なんですね。百二万戸のうち二千五百戸ということでございます。そういうことで、また林業は、生育期間がもう御案内のように長期にわたっておりまして、生産活動に伴う所得も必ずしも毎年発生するとは限らない。こういうことから、直接所得補償というものになじみにくい、こういうふうに考えております。

 また、木材価格の低迷などで、林業経営は非常に今厳しい状況にあるわけでございまして、伐採だとか造林について、それぞれの森林の所有者が、需要動向だとか立地条件だとかの経営判断に基づいて実施しているところであって、これを国が一律に推し進めるということは適当ではない、今こういうふうに考えておるところでございます。

 いずれにしても、生産性の向上とか担い手の育成だとか、今回提出させていただいている森林組合法の一部改正法案によって、施業の団地化など林業経営の対策を進めつつ、花粉の少ない杉や無花粉杉の普及など、花粉対策に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

○本多分科員

 まだまだ聞きたいことがありましたが、時間が来ましたので、最後に大臣の方から、今後も、もちろん当然のこと、こういう健康被害にかかわる問題ですから、党派を超えて、たまたまこの時期に農水大臣をされているわけですから、ぜひしっかりと、よく省庁連携でという話がありますが、これは林野庁だけでできることがたくさんありますから、もちろん連携しても結構ですけれども、林野庁だけの対策もしっかりと全力でやっていただきたいということの決意をお聞かせいただきたい。

 もう一点、済みません、最後に、実はサマータイム法案という法案が出てきそうでございます。私は、いろいろな点から問題がある法案になるのではないかと思っております。もちろん、議員立法ですから、大臣のお立場では今の段階で言いにくいこともあると思いますが、私は、朝の時間、日が明けてから、兼業農家の方なんか、会社に行くまでの時間が短くなってしまったり、いろいろな問題点が羅列すると二十も三十もあるんですが、農業というのは、これは実は仕事にかかわる大切な論点の一つとして、兼業農家の方に影響が出かねないと思っております。

 結論、もし、何か問題点があるという答えをいただければ、私はサマータイムに懐疑的なのでありがたいんですけれども、しっかりと、議員立法とはいえ、農業に携わって、兼業農家で頑張っている方の生活や経営を脅かしたら大変ですから、農水省としても、議員立法でも答弁に呼ばれるかもしれません、しっかり勉強していただくことだけはお約束をいただきたいので、花粉症の点と二点、最後に大臣に御答弁いただければと思います。

○島村国務大臣

 花粉症問題は、私、自分が担当した段階ではもう既に話が進んでいて、大変なことになっていたんです。しかし、そういうことを言っていたのではいけないので、やはりこれは将来的にも抜本的改革をしなきゃいけない。当然、省庁連携しなきゃいけません。我々はもちろん主体的にこれに対する対応をしよう、これはもう当然のことであります。だからこそ、ほとんど原稿なしに御答弁申し上げている、こういうことでございます。

 それから、サマータイムにつきましては、かつてこれが導入されたときは占領軍の押しつけだったんですね。これに対する反発が非常に強くありました。それからもう一つは、組合関係の方の、労働強化につながりやしないか、当時のことですから、これに対する批判が非常に強かったことを覚えております。もう一つは、料飲関係の人たちが、夜のとばりが落ちるのがなかなか時間がかかって、みんな健全に、スポーツに疲れるとうちに帰ってしまう、これは商売の邪魔だ、妨害だというので、大分批判がありました。

 しかし、もう時代は変わったと思います。むしろ、レクリエーションその他に時間をつくって、少し運動不足の日本人が体を鍛える機会、これは特に子供さんに言えることですが、そういう教育面を考えても、こういうサマータイムの導入というのは極めて大事なんじゃないか。特にエネルギーの消費、非常に節約につながる、ひいては、これは京都議定書の、例のCO2その他の防除にもある意味ではつながる、そういう効果が非常に大きいわけですね。

 ですから、農繁期はそれこそ期間が長いわけですから、十分、朝もう一時間早く起きてもできますし、私も農家の知り合いがたくさんいるわけで、サマータイムに対する御批判は余り聞かないように思いますので、この上ともに注意深く耳を傾けていきたい、こう思っております。

○本多分科員

 大臣のサマータイムに対するお立場をわかってから聞けばよかったんですが、そういういろいろな面で論争があるんですが、農水行政という立場から、しっかりと検討はしていただきたいと私も思います。 以上で終わります。