衆議院-安全保障委員会 2005年(平成17年)04月15日




 「防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)」に対する質疑

○本多委員

 民主党の本多平直です。 私、質問に入ります前に、やはりきのう起こりました航空自衛隊の救難捜索機で四名の方が亡くなられた事故について、簡単に触れたいと思います。

まずは、お亡くなりになられた隊員の方々に心から御冥福と、遺族の皆様にお悔やみを申し上げたいと思います。

当然、まだ起こったばかりですからわからないことも多いと思うんですが、長官として今のところで委員会に御報告できることを御報告いただければと思いますが、いかがでしょうか。

○大野国務大臣

 昨日、事故が起こったという第一報に接しました際に、まず人命救助を徹底的にやってほしい、こういうことを申し上げました。残念ながら、四人亡くなったわけでございます。この事故というのは、やはり人為的な事故なのか、あるいはハード面の事故なのか、そして両面なのか、この辺は徹底的に究明するように指示をいたしております。

まだ事故原因はわかっておりません。本格的にきょうからやりますけれども、まず、ハードの面について申し上げたい。

航空自衛隊は、MU2でございますけれども、昭和四十二年度から取得いたしております。このMU2というのは、御存じのとおり、三菱重工が一九六〇年代に開発いたしたものでございます。今回の事故機は昭和六十二年度に取得いたしておりますから、そろそろ二十年近い、まだ二十年にはなっておりませんけれども、十八年ちょっとになりましょうか、こういう問題があろうと思います。そういう問題も含めて、徹底的にハード面を検討したいと思っています。

操縦面、人為的な問題でございますが、これも徹底的に究明していきたいと思いますが、現在申し上げられることはありません。

したがいまして、当面はMU2の運航というのは見合わせていこうと思っております。

○本多委員

 大変古い飛行機であるということを長官からもいただきました。二十年使われてきた、そして、そもそもつくられたのは四十年ほど前の飛行機であるということで、これは新聞報道なんですが、新潟の部隊の方では早く買いかえてくれという要求が出ていたそうでございます。その辺は、事実関係をまだつかまれていないでしょうか。

○大野国務大臣 この問題、きちっと事実関係を把握するようにいたします。 ただ、機体整備は毎日毎日きちっといたしておった、このような報告を受けております。

○本多委員

 もちろん、今回の事故の原因と古さが関係あるかどうかということはわかりませんし、予断なくきちんと調べていただきたいと思いますが、しかし、新潟の部隊がそういう要求をしていたかどうかということは、きちんと調査の範囲に入れていただきたいと思います。私も、今後きちんと聞いていきたいと思いますし、四名の方が亡くなったことですから、きちんとお願いをしたいと思います。

それで、法案の方の御質問に行きます。 統合運用なんですけれども、私も、役所の縦割りで、本当に国会議員として質問をしていると大変つらい思いをすることが多い。ましてや自衛隊という組織が三自衛隊に分かれていて、そこで連携がおかしいというようなことがあってはそれは大変困るなということで、統合運用の話はいいことだなと思っておりました。

それで、あえて過去のことを振り返らせていただきたいんですけれども、これは石破先生が、前長官が書かれた本を私は何度も附せんをたくさんつけながら読ませていただいておりまして、石破長官の統合運用が必要だという例が三つ書いてあるんですね。

これは、読むと本当に恐ろしくなっちゃうようなことが書いてありまして、議事録に残したいので読ませていただきますと、九九年、「北朝鮮の工作船が来た時、海上自衛隊のイージス艦が舞鶴から出ました。航空自衛隊もF-15を飛ばしました。しかし、両隊の間では、なんの連携もなかったといいます。」これは本当だったら、何なんだということなんですね。仲の悪い役所同士もこんなことは余りない。

それから、「もしゲリラが上陸したら、陸上自衛隊が出ます。しかしそれだけでは足らず、航空自衛隊が新しく装備する精密誘導爆弾などが必要になったとしても、今までは、陸上自衛隊が航空自衛隊に対してお願いするルートを全く持っていませんでした。無線も通じないのです。それぞれが勝手にやっているわけです。」

もう一点、石破先生は例を出されています。「あるいは、陸上自衛隊は、地対艦ミサイル連隊というのを持っていますが、それを使い、宇都宮の駐屯地から東京湾に現れた船を沈めるとします。しかし水平線の向こうにいる船というのは、地球は丸いので、陸上自衛隊のレーダーでは見えません。その場合、海上自衛隊がP-3C哨戒機を飛ばして、船の位置を陸上自衛隊に伝えるシステムが必要になるのですが、それが整備されていないのです。」

つい先日まで長官をされていた石破先生がつい最近の著書でこういうふうに指摘をされているんですが、法案が通っていないわけですから、今こういう現状なんでしょうか、ぜひお答えをいただきたい。

○大野国務大臣

 石破前長官の御本でございます。まあまあポイントは、そういう点が多々あるのではないか。特に私は、通信とか情報面において、ばらばらなシステムを使っている、もちろん連携はとれるようにはなっておりますけれども、やはりハードが違う、こういう点は反省をしていかなきゃいけないんじゃないか。

本多委員おっしゃいましたとおり、これから本当に、先ほど岩屋委員がおっしゃいましたように、弾道ミサイルなんというのは空自と海自でやらなきゃいけないんですね。それから、ゲリラなんかにつきましても主に陸自と海自でやっていく。島嶼部の侵攻はもうすべて三自衛隊でやっていかなきゃいけない、こういう時代を迎えておりますから、この点は十分検討して、直すべきは直していきたい、このように思っています。

○本多委員

 石破先生がいらっしゃって発言できない場でこういうことをするのはいいのかどうかわからないんですが、石破先生も世論喚起の面で書かれた面もあると思いますし、少しでも直っていることにこしたことはないと思いますので、万が一この法案が通らなくても、今の体制のもとでもこういうことがあってはいけないと思いますので、そこはしっかりと直していっていただきたい。そういった観点からも、私は統合運用はいいことだなと思いました。頭はミサイル防衛の方にばかり行っていたんですけれども。

しかし、今自民党の岩屋先生からの議論を聞いておりましても、せっかく出していただくのだったら、もうちょっと与党としても自信を持って出していただきたかったな。つまり、私たちの大石委員の質問にもありましたとおり、私も、考えれば考えるほどこの統合は中途半端だなという気がいたしておるんです。アメリカの例とかいろいろあるんでしょうけれども、海外の例をいろいろ防衛庁の方に伺っても、アメリカの例ぐらいしか調べていないような部分もあるようなんですが、私は軍事の専門家じゃないですが、運用のみを統合するというのはなぜなんですか。

○大野国務大臣

 安全保障環境がどんどん変わっていっている。それは今までのように、例えば航空戦だけでやる、海上戦だけでやる、あるいは戦車だけでやる、こういう場面が大変少なくなってきて、今申し上げましたように、いろいろな面で統合をしていかなきゃいけない場面が想定されるわけであります。いわばゲリラからミサイルまで、よく言われますけれども、そういうことに対してやはり対抗していかなきゃいけない、これは運用の問題であります。しかも、抑止力だけの時代じゃなくて、展開力、機動力、実効的な運用をやっていかなきゃいけない。そうすれば、判断を迅速に、そして効果的に展開していかなきゃいけない、こういう問題が出てくるわけでございます。

そういう意味で、運用は一本にまとめましょう、ただし、その他の例えば補給、訓練等の問題は今までどおり各幕にお願いする、こういうことでございます。

○本多委員

 運用の統合が必要なことはよくわかっていまして、それ以外が各幕に残った理由は何なんでしょうかと。

○大野国務大臣

 各幕に残した理由、逆に考えますと、それをすべて統合幕僚長がやるとなると大変な仕事になるわけでありますね。これは、教育から編成から補給から、何から何までということになると、もう統合幕僚長は大変な仕事になる。やはり私は、日本の防衛のために一点に絞って運用、何か起こったらすぐ判断して展開する、こういう多機能弾力的な防衛力を備えた国でなければ安心できない。

そういう意味で、ほかの仕事はこれまでどおり各幕にお願いする、そして、その間で、先ほども議論いたしましたけれども、新しい自衛隊法九条の二のように、連携するところは連携していこう、こういう考え方でございます。

○本多委員

 そのお答えでは余り納得できません。

なぜかといいますと、大野長官自体がすべてをやられているわけです。運用も防衛庁長官の指揮なんです。そして、予算や訓練や教育も大野長官の範囲なんです。ですから、それを補佐する統合幕僚長にすべての人事や予算という権限、海とか陸それぞれの権限を集めることをしなかった理由は何があるんですか。

○大野国務大臣

 今、長官の例をお引きになりました。長官は、幸せなことに、運用については統幕長の補佐を受けます。その他については三幕長の補佐を受けます。それから、その他、政策的、一般的なことについては内局で各担当の局長の補佐を受けるわけであります。

したがいまして、そういう意味でいいますと、第一に、先ほど申し上げましたように、それだけのことを全部一本に絞ってしまう、これは大変なことである。これが第一点。

それから第二点は、具体的に申し上げますと、運用以外の分野、特に人事とか予算とか、これを一本化すると大変な大仕事になる。自衛隊の運用に支障があってはならない。この一点をお考えいただきたいと思うのであります。

そういう意味で、いろいろな観点から考えまして、訓練もそうでありますし、それからその他、いろいろな意味で、スケールメリットのことも頭におありなんだろうと思いますけれども、それは調達とか何かの面で効率化を図るべきところは調整しながら三幕で図っていく、こういうことはやります。

しかしながら、ポイントは、逆に説明するものですからおわかりにくいところがあるかもしれません。運用を一本に絞って日本の皆様に安心と安全をお届けする、それは運用でございます。その他、補給、訓練、教育、いろいろな問題がありますけれども、人事も予算もありますけれども、それは各幕にお願いしてやっていく、そういうことでございます。

○本多委員

 余り理解ができないんですね。なぜこういうことを言っているかというと、別にスケールメリットの話は後でします。

人間が組織で言うことを聞くときというのは、長官も十分御存じのように、人事を握られている、あの人に昇進を見られている、予算の権限を握られているというのはすごく大きな権限なわけですね。これは政治の世界ではよくおわかりのことだと思います。その権限を持っている人と、いざ出動というときに命令をする人が違うわけですね。例えば海上自衛隊だったら、出動のときは統幕長から指令が来る。長官からですけれどもね、実質的には。そして、日ごろの予算やそういうものはこちらで握られている。このことが分かれているということは、もうちょっとうまく答弁していただくと理解ができるのかもしれない。ちょっと私は、今のところ、わかりにくいところがある。

それともう一つ、逆から言えば、例えば私がずっと海上自衛隊で頑張っていて、海幕長になった、海上自衛隊で最高の地位になった。そのときに、海上自衛隊が出動するというときに、日ごろの予算とかそういう話では権限があっても、出動のときに権限がない。これは大石委員も指摘をされました。

これは、自衛隊というのは、ある意味士気でもっているような組織だと思うんですね。昇進をすることによって名誉と権限を持っていきたいという人たちの組織にとって、統合が必要だということは、だから両面、僕は今矛盾していることを言っているかもしれないんですが、こちら側から見てもどうも中途半端、こういうふうにすると。

逆に、これは海外の例でなくて、こういうのは軍事の常識からいったら違うのかもしれないけれども、完全にラインに置いて統幕長の下に入れているわけじゃないんですね。運用のラインじゃないんですね、各幕長は。そういうふうにもなっていない。これはどう思われますか。

○大野国務大臣

 人事、予算というのが大変大きな力を持っているんじゃないか、そういうことを忘れているのではないか、こういう御指摘でございます。

ある観点からはそういうことも言えようかと思いますけれども、やはりこの問題、全体を見渡せる統幕長が見て運用しているわけでございます。人事とかそういう問題のときに、そういう問題をどういうふうに評価するかという問題も出てこようかと思います。そういうことから、人事だけで物事を判断していいのかな、私はそのように思います。

やはり、教育訓練を立派に受けた者が、そして、いろいろな面で補給とか調達とかそういうことにすぐれた人が、その属している幕僚長によって認められる、当然のことではないでしょうか。運用というのは、そういつもあることではありません。これはあってほしくないことであります。しかしながら、あった場合には効果的にやっていく、こういうことであります。

そういう意味で、ふだんの実績なり、ふだんの行いがやはり人事面でも出てくる、こういう組織ではないでしょうか。そしてまた、全体的にも、運用の面でこういう働きをしているということは各幕長もきちっと見ていく、それがまた隊員の諸君の励みになっていくことではないか、私はこのように思っております。

○本多委員

 この法案がもし通ってしまったらそうやってください、それは。こういう中途半端なものをつくった以上、それをしっかりいい方向に運用していただかないと困りますけれども、せっかくこれだけの大改革をやるときに、両面からですよ、どうも中途半端な面があるなという問題点を指摘させていただきたいと思います。

そして、もうちょっと細かくいくと、では運用は完全に統合しているのかというと、どうも細かく三自衛隊に訓練に関する運用とかが残っているんですね。では、人事と予算は三自衛隊でやる、運用は統合でやるというのなら、これは残さないという統合はなかったんですか。

○大野国務大臣

 実際に統合運用するんだから、訓練もやはり統合訓練を行え、こういう御趣旨、御質問だと思いますけれども、部隊運用と訓練の関係でございます。

訓練は、自衛隊を最も効率的に運用するために訓練を行う、これは当然のことであります。そういう意味で、統合訓練もまた必要になってくるものと思います。統合訓練につきましては、新たな統合運用体制において、当然のことではございますけれども、統合運用のための訓練の重要性は一層高まってくるものと思います。

したがって、その辺は統合幕僚長がその責任を有することになるわけでございますけれども、各自衛隊が連携して対処するための新たな統合演習、これは今後大いに実施していかなきゃいけないし、統合幕僚監部が所掌することとなる訓練、このことにつきましても、きちっとした計画をつくって、充実をしていかなきゃいけない。したがいまして、訓練というのは、統合的にやるということも考えているわけであります。その点は両面あるということを御理解いただきたいと思います。

○本多委員

 だから、両面あるものを分けているんですよね、皆さんの法案は。だから、両面あるなら全部ラインにして、海幕長とか陸幕長を統幕長の下に置いて、統合でやる訓練は訓練、統合でやる人事もあるわけですよね、統合でとらなきゃいけない予算もあるはずですよね。それをやって、陸だけでやる訓練というものもあるかもしれない、陸だけで出動することで済む場合もある。そういうときは、形式的には統幕長が命令を出して、陸幕長が運用にも携わる、そういう仕組みもつくれたんじゃないかなと私は思いますので、ぜひ、もうちょっと議論する機会があるのかどうかわかりませんけれども、少なくとも与党の皆さんには自信を持って説得をしていただくような、大臣からも答弁をいただきたかったなという気が私はします。ちょっと、両面から中途半端であるという御指摘をさせていただきたいと思います。

それで、私、もう一個、ここはちゃんと統合してくれという部分がございまして、装備品の調達なんですね。こんなものは、希望を上げるのは陸海空から上げてもいいんですが、微妙に張り合ったりなんなりして、例えば、実態はよくわかりませんけれども、紙とか事務用品とか、どこの自衛隊で使っても同じようなものを三つに分けて買うより、同じところから買った方が安くなるとかという話があるんですよね。これが三つに分かれている。

そういう事務用品だったらまだいいんですが、ヘリコプターみたいなものを、陸のUH60というのと海のSH60というのが微妙に仕様が違って、どうも陸のUH60というのは羽根を折り畳めない、海のSH60というのは船に積み込むときのために羽根を折り畳めるらしいんですね。こういう細かい違いを勝手につけてやっているせいで、陸の分をばらばらに調達しているせいで、陸のものを急に海に積み込むときに、羽根を折るために、海外へ行くのが何日かおくれたという例があるそうなんですが、これは御存じですか。

○大野国務大臣

 御質問は、ヘリコプターの問題ですか。(本多委員「はい」と呼ぶ)

この問題は、例えば、インドネシアへ国際救援活動に参りました。そのときに、御存じのとおり、陸自の多用途ヘリUH60ブラックホークでございます、これを二機と、輸送ヘリCH47三機でございます、これを海上自衛隊の輸送艦「くにさき」で現地まで輸送しよう、こういうことになったわけでありますが、恐らくこのことをおっしゃっているのだと思います。海自ヘリSH60というのは護衛艦において運用することを想定しておりますけれども、陸自の多用途ヘリUH60の方は陸上において運用することを想定しておりますから、ここに問題があった、こういうことであります。

UH60は、ローターブレード、羽根の部分ですね、これが折り畳めないということでございます。しかしながら、割合簡単に取り外すことができるということで、ローターブレードを取り外して運ぶ、この取り外すということがありました。

それから、CH47の方でございますが、これは陸上自衛隊輸送ヘリでございますが、機体の寸法を見ますと、輸送艦のエレベーターに入らない、こういう問題があるわけでございます。そこで、航海中に潮を浴びて大変なことになったらいけない、こういうことで、ローターブレードを取り外した上で、海上輸送カバーで覆って運んだ、こういうようなことがありました。

○本多委員

 細かい事情を聞いているんじゃなくて、私もわかって聞いているので、こういうことも起こるし、まとめて買った方が安いとか、あと、ばらばらに買わない方が後でこういう細かい違いが出ないから、調達は統合運用に入れたらいかがだったんですか、なぜ入れなかったんですか、これを短くお答えください、情報本部のことも聞きたいので。

○大野国務大臣

 全く御指摘のとおりでございます。これはやはり、いろいろな、物品によって違いますよ、それは。例えば、先ほど先生おっしゃった文房具とかそういうものは、やはりスケールメリット、調達を一本にしてやったら、そういう事務に携わる人も少なくなっていく、当然のことであります。それから、機体によっては、大きなヘリコプターとかなんとかいうことになりますと、陸で使うもの、海で使うもの、どういう特性があるのか、こういうことを検討しながらやっていかなきゃいけない。

しかし、私が今指示しておりますのは、やはり調達コストは下げていこう、こういう面から考えて検討してくれ、こういうことを言っております。全く、そういう調達の効率化、真剣に考えていかなきゃいけないことであります。

○本多委員

 効率化はどんな制度のもとでも当然で、私たちもそれをしっかりお願いしたいんですけれども、せっかくの制度運用のときにそれが抜けているというのはどうかという御指摘をさせていただいておきます。

さて、情報本部を長官直轄にするということも今回の法案の一つの目玉であると思っておりますけれども、こちらにも実は、残念なことに、情報本部というのは、各自衛隊にばらばらにあった情報の部門を集めて情報本部をつくって、幾つかの成果も上げてきていると伺っております。私はそのことは評価をしたいと思うんですけれども、今回、改めて長官直轄にするというこの改革のときにおいても、まだ各自衛隊にも、調査部とか調査課とか情報部みたいなものが細かく残っているようなんですね。これをまとめない理由は何なんですか。

○大野国務大臣

 今回、長官直轄の情報本部をつくりました。しかしながら、なおかつ、各自衛隊にこの調査系統の問題が残っている。

これはやはり、各自衛隊が現場レベルで、例えば、レーダーサイト、航空機や艦船等による警戒監視の情報が入る、あるいは情報収集活動でやる、ヒューミントの問題もありましょう、実際に情報を収集して、各自衛隊で使う情報というものがあるわけでございます。したがいまして、各部隊に提供する情報等は、中央情報本部とは別に必要なケースもある、このことは御理解いただきたいと思います。

したがいまして、中央で集める情報、それから、それと同様に、各自衛隊が特殊専門的に持っている情報、こういうことを御理解いただきたいと思います。

○本多委員

 まあ、余り御理解できないんですが、また追及をしていきたいと思います。

それから、この情報本部というところでは、電波部というのがかなり重要な役目を果たしていると思うんですが、この電波部の部長というのがずっと警察からの出向だという話があるんですね。なぜですか。

○大野国務大臣

 情報本部電波部、その前身である陸幕調査別室等は、大規模な情報組織であります。したがいまして、電波部長や調査別室長には、一定の情報業務に精通した者、経験のある者、すぐれた指揮運用能力や行政手腕が求められるわけであります。

歴代の調査別室長や電波部長というのは、このような資質を有する適任者としてその職に充てられたわけでありまして、警察出身だから任命したというわけではありません。

○本多委員

 きょうは時間厳守ということなので、少し質問を積み残したんですけれども、統合運用の話とか情報本部のあり方については、別にこの法案が通ろうと通るまいと、今後もこの安全保障委員会の重大なテーマだと思いますので、質問をしていきたいと思います。

今の件ですけれども、警察にたまたまそういう適任者がいたということですが、しっかり警察は警察で情報活動しているわけですから、防衛庁でせっかくこの情報本部を持っている以上、ぜひ防衛庁の方がそこのトップにつけるような人材育成を早急にしていただきたいと思います。 以上御指摘をして、私の質問を終わります。