首都圏北部の日本海ルートでの国際海上輸送について(提言) 平成23年11月 1日 首都圏北部の日本海ルートでの国際海上輸送に関する研究会
(1)首都圏北部地域の対アジア貿易の窓口としての新潟港の機能強化 -1- アジアと新潟港を結ぶ航路の拡充 アジア主要港と新潟港を直接結ぶ「シャトル便」の開設も視野に、 新潟港への集荷促進や船社交渉力強化によりアジア航路の拡充を図ること。 -2- 使いやすい国際海上コンテナターミナルの形成 新潟港において、ターミナル運営の民営化を導入するとともに、 ヤード拡張やゲートオープン時間の見直し等によりコンテナターミナルの利便性向上を図ること。 -3- 対アジア向けの完成自動車輸出への対応 首都圏北部地域における自動車産業の生産活動を支えるため、 新潟港において対アジア向けの完成自動車輸出に対応した港湾機能の強化を図ること。 -4- 荷主の利用促進 インランド・デポの活用やポートセールスの実施により新潟港への集荷の促進を図ること。 また、高速道路料金の割引や荷主への助成など新潟港の需要を高めるような施策を実施すること。 -5- 新潟港への陸上アクセス機能の強化 熊谷貨物ターミナル駅や倉賀野駅から新潟港への定期貨物列車を運行させ、 首都圏北部地域からの陸上アクセス機能を大幅に強化すること。 (2)首都圏北部地域の対ヨーロッパ・ロシア貿易の窓口としての新潟港の機能強化 シベリア・ランド・ブリッジを通じた対ヨーロッパ貿易や対ロシア貿易の窓口として、 また、環日本海経済活性化の拠点として新潟港の機能強化を図ること。 (3)新潟港・直江津港の資源輸入拠点としての機能強化 今後、極東ロシア・サハリン地域からのLNGをはじめ石油、生ガス等の資源輸入量の増加を見据え、 広域的な資源受入拠点として新潟港・直江津港の機能強化を図ること。 (4)太平洋側港湾の代替港湾としての機能確保 東海、東南海・南海地震等の発生が危惧される中、太平洋側港湾の代替機能を確保し、 緊急時においても、国民生活や産業活動に必要な物資の供給が確保されるよう、 新潟港における耐震機能を有する十分な港湾機能を確保すること。 上記の提言の内容を早急に実現させるため、「日本海側拠点港」として新潟港、直江津港の2港を選定し、 民主党政権が目指す「選択と集中」の観点から施策や投資を集中させることが必要である。
はじめに 中国・韓国・ロシアなど日本海対岸諸国は近年著しい経済発展を遂げており、2007年には中国が米国を抜き、わが国最大の貿易相手国となり、また、ロシアのWTO加盟が間近に迫るなど、対岸諸国とわが国の経済関係が今後ますます深まっていくものと思われる。 このような傾向は、近年、製造業をはじめとした企業立地が特に進んでおり、わが国の経済成長を牽引している埼玉県や群馬県等の首都圏北部地域においても例外ではなく、立地企業の活動や国民生活に必要な物資の大半が対アジア貿易で賄われており、今後ともその量は更に増加していくことが想定されている。 今後、首都圏北部地域、ひいてはわが国全体の国際競争力を強化するためには、これらアジア諸国の経済発展を取り込んでいくことが重要であり、これまで以上にアジア諸国との効率的な物流体系を構築することが必要不可欠である。 現在、対アジア貿易との窓口となる日本海側港湾の役割の明確化と港湾間との連携を図ること等を目的として、国土交通省において「日本海側拠点港」の選定が行われているところであり、首都圏北部地域とアジア諸国との物流効率化の進展も期待されるところである。 本研究会では、首都圏北部への効率的な物流体系を構築し、わが国の経済成長を確保することを目的として、埼玉県や群馬県等に立地する製造業や物流事業者等へのヒアリング、新潟港国際海上コンテナターミナル等の現地視察を行った上で、首都圏北部とアジア諸国との貿易の効率化策を検討し、この提言に取りまとめたところである。 この提言の内容が今後の物流施策の展開に活用されることを期待する。 1.首都圏北部地域における国際物流の現状 【埼玉県における国際物流の現状】 ○ 埼玉県には、愛知、大阪に次ぐ約7,200事業所が立地し、輸送機械や食料品、化学製品を中心に、平成21年には11.3兆円を出荷するなど、地域経済や日本経済の活性化に大きく貢献している。 (輸出貨物の現状) ○ 埼玉県を生産地として海外へ輸出されるコンテナ貨物のうち、約3割が中国向けであり、香港、タイ、台湾などアジア地域向けの貨物が大勢を占めている。 ○ 輸出貨物のうち、約97%が京浜港を経由して輸出されており、新潟港など日本海側港湾を経由して輸出されている貨物はほとんど無い。 (輸入貨物の現状) ○ 一方で、埼玉県を消費地として輸入されるコンテナ貨物は、衣類、家具、電気製品等の住民生活に必要な生活物資であり、約6割が中国から輸入されている。タイや韓国を含むアジア全体をみれば、全輸入量の85%を占めている。 ○ 輸入貨物についても、約97%が京浜港を経由して輸入されており、新潟港など日本海側港湾を経由して輸入される貨物はほとんど無い。 【群馬県における国際物流の現状】 ○ 群馬県には、全国で15位となる約3,200事業所が立地し、輸送機械や食料品を中心に、平成21年には6.5兆円を出荷するなど、地域経済や日本経済の活性化に大きく貢献している。 (輸出貨物の現状) ○ 群馬県を生産地として海外へ輸出されるコンテナ貨物のうち、約25%が米国向けであり、中国、香港、韓国などのアジア諸国が続いている状況。アジア諸国向けは46%を占めている。 ○ 輸出貨物のうち、約96%が京浜港を経由して輸出されており、中国向けの貨物の一部が新潟港を経由して輸出されているが、ごく僅かにとどまっている。 (輸入貨物の現状) ○ 一方で、群馬県を消費地として輸入されるコンテナ貨物は、衣類、電気製品、家具等の住民生活に必要な生活物資であり、約5割が中国から輸入されている。タイやインドネシアを含むアジア全体をみれば、全輸入量の8割を占めている。 ○ 輸入貨物についても、約97%が京浜港を経由して輸入されており、中国からの輸入貨物の一部が新潟港を経由して輸入されているが、ごく僅かにとどまっている。 2.課 題 首都圏北部地域における国際物流の大部分がアジア向けとなっている中で、現状の京浜港を経由した輸送体系では、新潟港に比べて海上輸送距離が長くなること等により、非効率な物流となっており、その分が製品価格や消費価格に転換され、日本における産業競争力の阻害要因となるとともに、国民生活の家計に影響している。 本来は、新潟港等の日本海側諸港を対アジア貿易における玄関口とすることにより、アジア諸港との間の海上輸送距離を大幅に短縮し、物流効率化を達成すべきと考えられるが、実際には、ほとんどの貨物が京浜港から貿易されている状況である。 そのため、本研究会では、物流効率化が図れていない理由を分析するため、荷主企業や物流事業者等にヒアリングを行い、京浜港、新潟港の利用における課題を分析した。 (京浜港を利用した物流における課題) ○ コンテナヤードへの搬入及び搬出に時間がかかる。そのため、トラックの待機時間が非常に長くかかり、ドレージ(港湾から荷主までの陸上輸送)の手配が困難である。 ○ コンテナターミナルへのアクセスの際、都市部の道路を通行するため、渋滞に巻き込まれることが多く、陸上輸送での時間的なロスが大きい。 ○ 通関手続きを行う件数が多いため、審査に時間を要する。 ○ 今後の海上コンテナの高規格化への対応が困難。 (新潟港を利用した物流における課題) ○ 寄港する船社が少ないため、港湾での待機時間が長くなる。 ○ 寄港スケジュールの関係上、輸出の航海日数が長くなる場合が多い。(例えば上海に行く場合には、最短でも9日かかる) ○ 陸上輸送距離が京浜港と比べると長くかかるので、陸上輸送コストが割高である。 ○ 大型船の寄港が少ないため、海上運賃も割高となる。 ○ 冬季における高速道路の通行止めなど陸上輸送の安定性が確保されておらず、荷主にとって大きなリスクとなる。 3.提 言 中国をはじめとするアジア諸国が急速な経済発展を遂げる中、アジアの成長をわが国に取り込み、わが国における成長力の強化を確実なものとするためには、アジアを中心に世界とのヒト・モノ・カネの流れの障壁をできるだけ除去することが必要である。首都圏北部地域においても、立地する企業活動や国民生活を対アジア貿易が支えていることから、今後にわたって、安定的かつ確実な海上輸送を確保することが必要である。 こうしたアジア地域との貿易については、国内輸送と大差ないスケジュール・距離で行われることから、「準国内輸送化」が進展しており、国内輸送と同様に、定時性や速達性が重視されることから、アジア諸国との近接性や国内輸送網との接続性等のメリットを有する新潟港をはじめとした日本海側港湾の活用が必要不可欠となっている。 本研究会では、特に今後わが国への対アジア貿易の玄関口としての活用が期待される新潟港との連携による首都圏北部における対アジア物流の効率化策を提言する。 (1)首都圏北部地域の対アジア貿易の窓口としての新潟港の機能強化 現状では、首都圏北部からの対アジア貿易の大半を京浜港が担っているが、既に京浜港では取扱貨物量が逼迫しており、ゲート待ち渋滞が著しく、コンテナの搬入及び搬出に1日程度かかる場合もある。また、京浜港までアクセスするためには、市街地を通行しなくてはならないため、渋滞に巻き込まれることもある。こうした国内輸送における時間の損失は、定時性や速達性が求められる対アジア貿易において不利な要因となっている。 京浜港は背後に市街地が近接しており、これ以上の大規模な拡張が困難であることから、新潟港と京浜港の機能分担により、対アジア向け貨物を新潟港に分担させ、京浜港の混雑緩和を図ることは、首都圏北部における対アジア貨物の効率化だけでなく、京浜港から基幹航路を経由して欧米へ輸送される貨物輸送の効率化にもつながり、わが国産業全体の国際競争力の強化に資するものと考えられる。 一方で、新潟港を有効活用するためには、航路拡充や港湾サービスの向上により、荷主から選択される港湾とする必要があり、そのためには以下のような取り組みを進める必要がある。 -1- アジアと新潟港を結ぶ航路の拡充 特にアジア向け貨物のうち大部分を占める中国向けの海上輸送機能を強化するために、新潟港と上海・香港等の主要港を結ぶ中国航路を拡充する。そのために、以下の-3-、-4-等の集荷促進策を講じるとともに、港湾管理者や港湾運営会社が中心となって対船社交渉力を強化する。 中国航路の拡充にあたっては、アジア主要港と新潟港を直接結ぶ「シャトル便」の開設も目指すこととし、輸出・輸入の両方でアジア主要港へ最短で輸送することを可能とする。 -2- 使いやすい国際海上コンテナターミナルの形成 新潟港の国際海上コンテナターミナルでは、平成24年春に3バース目の供用が開始され、滞船等の障害が解消する見込みである。一方で、利用者の利便性向上を図るため、荷役機械の導入や更なるヤード拡張等による荷役の効率化、ゲートオープン時間の見直し、ヤードレイアウトの見直し、管理システムの高度化等について引き続き取り組む必要がある。
また、荷主のニーズに対応し、かつ効率的なターミナル運営を行うため、京浜港や阪神港等で導入が進められている「ターミナル運営の民営化」を新潟港においても進める必要がある。 -3- 対アジア向けの完成自動車輸出への対応 首都圏北部地域は、群馬県に大手自動車工場が複数立地するとともに、埼玉県北部では新たに自動車工場の新規立地が予定されるなど、わが国における自動車の重要な生産拠点となっている。今後、アジア諸国における自動車の購入ニーズの拡大や首都圏北部地域における完成自動車の生産量の増加に伴い、対アジア貿易向けの完成自動車貿易のニーズがますます増大することが想定されている。こうした対アジア向けの完成自動車の輸出の拠点としての機能を新潟港において確保すべく、完成自動車を仮置するためのヤードや自動車航送船の着岸が可能な港湾施設の整備を行うことが必要である。 -4- 荷主の利用促進 新潟港における中国航路を拡充するためには、新潟港へアジア向け貨物の集約を図る必要がある。そのためには、新潟県内における貨物の集約を図ることはもちろん、首都圏北部や東北地方に立地する荷主に利用してもらうことが必要である。そのため、見附市に設置しているインランド・デポ等を活用し、新潟県内や周辺各県における小口貨物の新潟港への集荷を促進するとともに、首都圏北部や東北地方の荷主に対して、ポートセールスやセミナーの開催等による対岸貿易促進活動を展開することにより、背後圏の拡大を図ることが必要である。 さらに、国としても、京浜港と新潟港の機能分担により、全体効率的な物流体系を構築する観点から、政策初期段階において、新潟港へアクセスする高速道路料金の割引や新潟港を利用する荷主への助成など、新潟港の需要を高めるような施策を実施すべきである。 -5- 新潟港への陸上アクセス機能の強化 現在、首都圏北部から新潟港への陸上輸送は、関越自動車道を利用した自動車輸送のみとなるため、輸送能力に限りがあるとともに、冬季の積雪など天候の影響を受けやすく、安定的かつ効率的な輸送とはなっていない。 一方、埼玉県や群馬県には海上コンテナに対応する貨物取扱駅(熊谷貨物ターミナル駅、倉賀野駅)が存在することから、これらの駅から鉄道でコンテナ貨物を新潟港へ搬入することが出来れば、新潟港への陸上アクセスを大幅に向上させることが可能となる。そのため、新潟港国際海上コンテナターミナルの800m手前で止まっている新潟東港鉄道を延伸し、コンテナターミナルに直接乗り入れ、首都圏北部地域から新潟港まで定期貨物列車を運行させる。 さらに、将来的に、40ft背高コンテナ輸送にも対応するため、低床貨車の導入や上越線清水トンネル等の拡張を検討するとともに、構造的に40ft背高コンテナが通過可能な上越新幹線において貨物列車の夜間利用に向けて、物流事業者のニーズを踏まえつつ、国が主体となってJR東日本やJR貨物等の鉄道事業者と調整を進め、早急に実現を図るべきである。 (2)首都圏北部地域の対ヨーロッパ・ロシア貿易の窓口としての新潟港の機能強化 新潟港は、釜山港や上海港といったアジア主要港への定期航路だけでなく、ウラジオストク等のロシアへの定期航路を有するわが国でも数少ない港湾であり、海上輸送日数は最短2日という利点を有している。 ウラジオストック港では、シベリア鉄道に貨物を積み替えることが出来るため、新潟港・ウラジオストク港・シベリア鉄道を経由するルート(以下、「シベリア・ランド・ブリッジ」という)を使えば、日本からヨーロッパまで25日程度で貨物の輸送が可能となり、従来の海上輸送ルート(スエズ運河経由で南回りする)よりも大幅に(15日程度)輸送日数を軽減することが可能である。 現在、自動車会社を中心として多くの製造業がヨーロッパ東部やロシア西部に展開しており、これらの企業活動に必要な部品や製品の輸送への活用が期待されているところである。 また、当該経路を利用すれば、ロシアやウクライナ等で産出されるレアアース等の資源の安定的な輸入が期待されることから、今後のわが国への資源の安定的確保のためにもシベリア・ランド・ブリッジの強化は重要である。 こうした現状を踏まえ、対アジア貿易だけでなく、シベリア・ランド・ブリッジを通じた対ヨーロッパ、対ロシア貿易の窓口として、また、環日本海経済活性化の拠点として、新潟港の機能強化を図っていく必要がある。 (3)新潟港・直江津港の資源輸入拠点としての機能強化 LNGをはじめ石油や生ガスなどの資源輸入は、家庭用ガスに加えて、東日本大震災後には発電用エネルギーの原料として重要度がますます高まっている。新潟港や直江津港は、油槽所やLNG基地などのエネルギー関連企業が立地するとともに、既存パイプライン網とも直結※しており、首都圏北部をはじめとして東日本全域をカバーする広域的なLNG供給拠点となっている。わが国へのエネルギーの安定供給の観点から海外からのLNG等の資源の輸入拠点として、港湾施設や貯蔵施設の早期機能強化が望まれる。特に、極東ロシア・サハリン地域では、現在、サハリンプロジェクト等の資源開発が官民連携で進められており、今後、これらの地域から、こうしたLNG、石油や生ガスなどの資源輸入量が増加することが見込まれる。これら極東ロシア・サハリン地域への地理的、時間的な近接性を有する新潟港や直江津港において、資源受入拠点として輸入量の増加に対応する必要がある。 ※ 新潟港は、石油資源開発(株)の既存パイプラインにより仙台市、山形市、福島市など東北地方主要都市と結ばれており、直江津港は、国際石油開発帝石(株)の既存パイプラインにより、長野県、群馬県、埼玉県、東京都など関東甲信越地方の主要都市と結ばれている。 (4)太平洋側港湾の代替港湾としての機能確保 3月11日に発生した東日本大震災では、東北地方における産業や生活を支える太平洋側の港湾に広域かつ甚大な被害が生じたところである。 一方で、新潟港等の日本海側港湾において大きな被害が無く、震災直後の石油や食糧等の緊急物資輸送のみならず、その後、東北地方の企業活動に必要なコンテナ貨物等を受け入れるなど、太平洋側港湾の代替機能を十二分に果たしたところである。 今後、東海、東南海・南海地震や首都圏直下型地震の発生により、京浜港をはじめとした太平洋側に位置するわが国物流拠点が被災し、長期間にわたって機能停止すれば、生活用品や産業活動に必要な資源などあらゆる物資の供給が出来ず、わが国国民生活や産業にとって深刻な状況に陥ることが想定される。 そのため、太平洋側港湾の代替機能を確保し、緊急時においても、わが国国民生活や産業活動に必要な物資の供給が可能となるよう、新潟港において、耐震機能を有する十分な港湾機能を確保するとともに、首都圏をはじめとした各地への輸送ルートの確保を図る必要がある。 4.物流行政のあり方についての提言 効率的な国際物流網を構築するためには、貨物の出発地から到着地に至るまでの海上、陸上輸送全体を一体的に検討し、施策を進める必要があるが、現状では、道路、港湾、海運、自動車、鉄道といった各分野の行政が縦割りに行われており、その弊害により全体効率化が図れていない。 国土交通省の発足によりこれらの行政分野が同一省庁内で行われることとなったメリットを十分発揮するためにも、行政分野の縦割りによる弊害を排除し、港湾と道路・鉄道が有機的に結びついた総合的な物流体系を構築することが必要である。そのため、国土交通省内に、総合的な物流体系の構築を強力に推進する組織づくりのための研究会等を設置すべきである。 また、港湾行政については、今まで全国一律に港湾整備を実施してきた結果、釜山港等のアジア主要港に貨物を奪われ、その地位を大きく低下させてきたという反省を踏まえ、民主党政権となって取り組んでいる「選択と集中」の観点から、わが国の国際競争力の強化のために必要な港湾に施策や投資を集中させ、スピード感をもって進めることが重要である。 一方、施策の実施に際しては、ユーザーである物流業者の視点に立って、物流業者が利用しやすい、効率の良い物流体系の構築にスピード感を持って取り組むとともに、単に道路や港湾などの施設をつくって終わりではなく、ユーザーが有効に活用できるよう、サービス向上に努めることも必要である。 さらに、港湾の運営に関しては、未だに非効率な面が残っており、今後、世界に対抗しうる港湾を育成していくためにも、さらなる港湾サービスの向上やコスト削減を進めるべきである。 5.おわりに この提言の内容は、首都圏北部とアジア地域との物流効率化のみならず、切迫性が指摘されている東海、東南海・南海地震や首都直下型地震等の大規模災害発生時にも対応できる強靱な物流ネットワークの構築にも資するものである。 その実現には、対アジア貿易の窓口となる新潟港・直江津港の機能強化が必要不可欠と考えており、現在、国土交通省にて選定作業を行っている「日本海側拠点港」として、この2港が選定され、民主党政権が目指す「選択と集中」により施策や投資を集中し、早急に機能強化が図られることを期待する。 首都圏北部の日本海ルートでの国際海上輸送に関する研究会 会長 衆議院議員 本多 平直 民主党 埼玉12区 事務局長 衆議院議員 柿沼 正明 民主党 群馬3区 委員 参議院議員 大野 元裕 民主党 埼玉県 委員 衆議院議員 小泉 龍司 無所属 埼玉11区 委員 参議院議員 行田 邦子 民主党 埼玉県 委員 衆議院議員 三宅 雪子 民主党 群馬4区 委員 衆議院議員 宮崎 岳志 民主党 群馬1区 本研究会における検討の経過 ○ 第1回研究会 平成23年8月4日(木) ・国土交通省からのヒアリング 1. 首都圏、信越地域の貿易の状況 2.京浜港、新潟港、直江津港等の利用状況 3.日本と対中・対韓・対ロシア貿易の現状 ○ 第2回研究会 平成23年9月15日(木) ・国土交通省からのヒアリング 1.群馬県及び埼玉県におけるコンテナ物流の動向 2.京浜港と新潟港の定期航路の状況(寄港便数/所要時間) 3.東日本大震災時の新潟港における代替輸送の状況 ・新潟インランド・デポ関係者からのヒアリング ○ 第3回研究会 平成23年10月6日(木) ・太田国際貨物ターミナル関係者からのヒアリング ・群馬県の荷主企業関係者からのヒアリング ○ 現地視察 平成23年10月19日(水) ・太田国際貨物ターミナル(群馬県太田市) ・新潟港東港区国際海上コンテナターミナル(新潟県新潟市) ・新潟県知事と意見交換 ・新潟市長と意見交換 ○ 第4回研究会 平成23年10月21日(金) ・提言書とりまとめ